1 ヤマビル咬傷の自験例(一般講演,第60回日本衛生動物学会西日本支部大会講演要旨)
患者は65歳男性. 平成17年6月22日~9月25日の間に京都市左京区広河原能見町(ニホンシカ生息地)で杉を伐採中に5回のヤマビル咬傷を受けた. 皮膚症状について観察した. 天候は曇天あるいは小雨時であった. 服装は作業用長袖, 長ズボン, 長靴にゴム手袋着用. ヤマビルの付着は休憩時の着替えや長靴を脱ぐときに気がついた. 咬傷部位は左踝内側左, 脹脛内側2ヵ所, 右鎖骨下および左前腕内側. 受咬傷中の自覚は鎖骨下のみ違和感あり, 他は痒痛もなし. 気がつき次第用手除去した3例の推定吸血量は0.1~0.2ml. 脹脛内側と前腕内側の2例は飽血させた後自然脱落させた. これらの推定吸血量は1.5...
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| Published in | Medical Entomology and Zoology Vol. 57; no. 2; p. 165 |
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| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本衛生動物学会
2006
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| ISSN | 0424-7086 2185-5609 |
| DOI | 10.7601/mez.57.165_2 |
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| Summary: | 患者は65歳男性. 平成17年6月22日~9月25日の間に京都市左京区広河原能見町(ニホンシカ生息地)で杉を伐採中に5回のヤマビル咬傷を受けた. 皮膚症状について観察した. 天候は曇天あるいは小雨時であった. 服装は作業用長袖, 長ズボン, 長靴にゴム手袋着用. ヤマビルの付着は休憩時の着替えや長靴を脱ぐときに気がついた. 咬傷部位は左踝内側左, 脹脛内側2ヵ所, 右鎖骨下および左前腕内側. 受咬傷中の自覚は鎖骨下のみ違和感あり, 他は痒痛もなし. 気がつき次第用手除去した3例の推定吸血量は0.1~0.2ml. 脹脛内側と前腕内側の2例は飽血させた後自然脱落させた. これらの推定吸血量は1.5ml, 0.5mlで, 吸血時間は2-3時間, 約30分であった. 前端吸血部と後端吸盤部に皮膚症状が見られ, その距離は2.5cmおよび1.5cmであった. 飽血させた1例の出血を観察したところ血液凝固時間は15分であった. 全ての例で咬傷部に紅斑(直径は1~5cm)をで認め, 咬傷後数日間観察された. 2例は紫斑を伴った. 皮膚症状発現部位は前端吸血部に強く, 後吸盤にも弱く発現した. 咬傷後弱い痒みが4~14日間持続した. 皮膚症状の変化は紅斑(紫斑)→潰瘍→痂皮形成→脱色素斑であった. なお, 現地で長靴の外側底に近い部分から上部に這い上がってきたヤマビルの速度, および前腕を吸血したヤマビルを紙の上に置いて観察した速度は, およそ90cm/分であった. 捕獲した未吸血ヤマビルが鶏の心内血を吸血したことから, これを餌に飼育可能と思われた. |
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| ISSN: | 0424-7086 2185-5609 |
| DOI: | 10.7601/mez.57.165_2 |