13 房総半島のヤマビルの宿主動物について

国内のヤマビル生息地では, 吸血源動物として大型の哺乳動物の存在が指摘されている. 房総半島にはニホンジカが生息するが, ヤマビルの生息状況には吸血源をシカだけに限定できない現象もみられる. ヤマビルの生息とシカとの関係を検討するために, 鹿防護柵で囲んだ試験地2カ所を設定し, シカを排除し設置前後の柵内のヒル生息数を観察した. 生息密度(出現数/m2)の変動は, 試験地の地形や柵に対する動物の反応により異なった結果か得られた. シカの排除が完全だった柵では, 設置翌年に設置前の45%, 2年後10%, 3年目以降5%以下に減少し, 排除の影響が顕著だった. シカ排除が不十分だった試験地では5...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 49; no. 2; p. 148
Main Authors 角田, 隆, 藤曲, 正登
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 1998
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.49.148_4

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Summary:国内のヤマビル生息地では, 吸血源動物として大型の哺乳動物の存在が指摘されている. 房総半島にはニホンジカが生息するが, ヤマビルの生息状況には吸血源をシカだけに限定できない現象もみられる. ヤマビルの生息とシカとの関係を検討するために, 鹿防護柵で囲んだ試験地2カ所を設定し, シカを排除し設置前後の柵内のヒル生息数を観察した. 生息密度(出現数/m2)の変動は, 試験地の地形や柵に対する動物の反応により異なった結果か得られた. シカの排除が完全だった柵では, 設置翌年に設置前の45%, 2年後10%, 3年目以降5%以下に減少し, 排除の影響が顕著だった. シカ排除が不十分だった試験地では50%の減少にとどまったが, 生息密度の変動は動物の行動により搬入されるものよりも, 降雨により外部から流人する個体数の影響が大きいものと思われた.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.49.148_4