左肺全摘47年後の感染を伴ったChronic Expanding Hematomaの1例

症例は71歳男性.47年前に左肺全摘,12年前に左膿胸に対して胸腔内洗浄を施行した.数年前より緩徐に進行する呼吸苦を認め来院した.縦隔偏位を伴う左慢性膿胸と診断し,胸腔ドレナージを施行するも培養よりメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(MRCNS)が検出され,慢性膿胸に対して開窓術(第4-7肋骨切除)を施行した.胸腔内は易出血性の肉芽と器質化したフィブリン塊が占め,感染を伴ったChronic expanding hematoma(CEH)と診断した.CEHは被膜を含めた完全切除が最善とされるが,大量出血により致命的となる症例も報告されている.今回,我々は開窓術および内容除去に留め,周術期の...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 6; pp. 588 - 594
Main Authors 坂口, 浩三, 飯田, 崇博, 石田, 博徳, 金子, 公一, 二反田, 博之, 山崎, 庸弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2020
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.34.588

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Summary:症例は71歳男性.47年前に左肺全摘,12年前に左膿胸に対して胸腔内洗浄を施行した.数年前より緩徐に進行する呼吸苦を認め来院した.縦隔偏位を伴う左慢性膿胸と診断し,胸腔ドレナージを施行するも培養よりメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(MRCNS)が検出され,慢性膿胸に対して開窓術(第4-7肋骨切除)を施行した.胸腔内は易出血性の肉芽と器質化したフィブリン塊が占め,感染を伴ったChronic expanding hematoma(CEH)と診断した.CEHは被膜を含めた完全切除が最善とされるが,大量出血により致命的となる症例も報告されている.今回,我々は開窓術および内容除去に留め,周術期の管理を経て易出血性の肉芽の自然な脱落を促すことで局所の感染制御が可能であった1例を経験した.CEHの治療として侵襲の程度を考慮し,症例に応じた治療戦略が必要である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.34.588