特発性小腸穿孔の1例

稀な特発性小腸穿孔の1例を経験したので報告する. 症例は17歳,男性.家族歴,既往歴は.就寝後に上腹部痛と嘔吐が出現したため来院した.来院時,腹部全体の圧痛と筋性防御を認め,腹部単純X線撮影にて両側横隔膜下に遊離ガス像を認めた.上部消化管内視鏡検査にて胃十二指腸に異常を認めなかった.原因不明の消化管穿孔の診断で手術を施行した.Treitz靱帯より55cm肛門側空腸に約15mmの穿孔を認めたため,穿孔部を含む空腸部分切除を施行した.切除標本では,いわゆるpunched out状の穿孔を認める以外に異常所見を認めなかった.病理組織学的所見では,腸管壁全層の完全断裂を認めたが,粘膜の漿膜側へのsli...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 4; pp. 1077 - 1080
Main Authors 阿部, 正, 下沖, 収, 菅井, 有, 上杉, 憲幸, 板橋, 英教, 小松, 英明, 皆川, 幸洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.1077

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Summary:稀な特発性小腸穿孔の1例を経験したので報告する. 症例は17歳,男性.家族歴,既往歴は.就寝後に上腹部痛と嘔吐が出現したため来院した.来院時,腹部全体の圧痛と筋性防御を認め,腹部単純X線撮影にて両側横隔膜下に遊離ガス像を認めた.上部消化管内視鏡検査にて胃十二指腸に異常を認めなかった.原因不明の消化管穿孔の診断で手術を施行した.Treitz靱帯より55cm肛門側空腸に約15mmの穿孔を認めたため,穿孔部を含む空腸部分切除を施行した.切除標本では,いわゆるpunched out状の穿孔を認める以外に異常所見を認めなかった.病理組織学的所見では,腸管壁全層の完全断裂を認めたが,粘膜の漿膜側へのslidingは認めなかった.急性炎症細胞浸潤を伴う腹膜炎を伴っていたが,その他の病的所見は認めず,特発性小腸穿孔と診断した.術後経過は良好で,術後第11病日に軽快退院した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.1077