縦隔発生巨大脂肪肉腫の1切除例
症例は72歳女性.労作時の動悸を主訴に近医受診した.胸部X線写真で縦隔陰影の拡大を指摘され,当院に紹介された.CT,MRIでは脂肪と同程度の濃度,強度を示す巨大な縦隔腫瘍が,広範囲に右肺門から横隔膜に接していた.診断として縦隔発生脂肪肉腫を疑った.手術は,まず仰臥位で炭酸ガス送気を用いて胸腔鏡下に観察を行った.腫瘍は縦隔から突出し頭尾側方向に長く,横隔神経は一部腫瘍に巻き込まれていた.そのため,左側臥位側方開胸に移行した.腫瘍の迅速病理診断で脂肪肉腫が強く疑われたため,横隔神経を腫瘍と共に合併切除した.さらに横隔膜の縫縮を追加し手術を終了した.最終病理は高分化型脂肪肉腫であった.術後経過は良好...
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Published in | 日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 2; pp. 177 - 181 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
2016
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Subjects | |
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ISSN | 0919-0945 1881-4158 |
DOI | 10.2995/jacsurg.30.177 |
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Summary: | 症例は72歳女性.労作時の動悸を主訴に近医受診した.胸部X線写真で縦隔陰影の拡大を指摘され,当院に紹介された.CT,MRIでは脂肪と同程度の濃度,強度を示す巨大な縦隔腫瘍が,広範囲に右肺門から横隔膜に接していた.診断として縦隔発生脂肪肉腫を疑った.手術は,まず仰臥位で炭酸ガス送気を用いて胸腔鏡下に観察を行った.腫瘍は縦隔から突出し頭尾側方向に長く,横隔神経は一部腫瘍に巻き込まれていた.そのため,左側臥位側方開胸に移行した.腫瘍の迅速病理診断で脂肪肉腫が強く疑われたため,横隔神経を腫瘍と共に合併切除した.さらに横隔膜の縫縮を追加し手術を終了した.最終病理は高分化型脂肪肉腫であった.術後経過は良好で9日目に退院となった.現在,術後1年経過し再発の徴候なく,経過観察中である. |
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ISSN: | 0919-0945 1881-4158 |
DOI: | 10.2995/jacsurg.30.177 |