卵巣嵌頓を伴う小児大腿ヘルニアの1例

卵巣嵌頓を伴う小児大腿ヘルニアの稀な1例を経験した. 症例は4カ月, 女児. 右鼠径部腫瘤を主訴に当院へ紹介された. 右鼠径部に3cm大の発赤した腫瘤を認め鼠径ヘルニア嵌頓と術前診断し緊急手術を施行したところ大腿ヘルニア卵巣嵌頓と判明し右付属器切除術と腹腔側よりのヘルニア門閉鎖を行った. 経過は良好で術後1年6カ月の現在再発を認めていない. 小児大腿ヘルニア嵌頓は非常に稀な疾患であり, 現在まで本症例を含めて6例しか報告されていない. さらに卵巣切除を必要とした症例は本症例が初めてであった. 小児大腿ヘルニアの術前診断は困難であるが鼠径部腫瘤の原因の一つとして考慮すべきであり, 卵巣嵌頓が疑わ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 6; pp. 1592 - 1596
Main Authors 加洲, 保明, 土居, 崇, 三好, 麻衣子, 角岡, 信男, 河内, 寛治, 宮内, 勝敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.68.1592

Cover

More Information
Summary:卵巣嵌頓を伴う小児大腿ヘルニアの稀な1例を経験した. 症例は4カ月, 女児. 右鼠径部腫瘤を主訴に当院へ紹介された. 右鼠径部に3cm大の発赤した腫瘤を認め鼠径ヘルニア嵌頓と術前診断し緊急手術を施行したところ大腿ヘルニア卵巣嵌頓と判明し右付属器切除術と腹腔側よりのヘルニア門閉鎖を行った. 経過は良好で術後1年6カ月の現在再発を認めていない. 小児大腿ヘルニア嵌頓は非常に稀な疾患であり, 現在まで本症例を含めて6例しか報告されていない. さらに卵巣切除を必要とした症例は本症例が初めてであった. 小児大腿ヘルニアの術前診断は困難であるが鼠径部腫瘤の原因の一つとして考慮すべきであり, 卵巣嵌頓が疑われた場合, 用手還納にこだわらず早期手術を選択すべきであると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.1592