自然退縮した肺小細胞癌の1例

症例は84歳,男性.検診にて異常陰影を指摘され,精査目的に当院を受診した.胸部CTにて左下葉に径1.5×1.2 cmの結節を認めた.原発性肺癌を疑い,診断を兼ねた治療目的での手術適応と判断した.直前に冠動脈ステントを留置していたため1.5ヵ月後の手術予定としたが,その直前に行ったCTにて結節は縮小していた.経過から炎症性腫瘤と判断し経過観察の方針とした.しかしながら初診から4ヵ月後と9.5ヵ月後のCTでは結節の緩徐な増大を認めたため,改めて手術の適応と判断し胸腔鏡下左肺部分切除を行った.病理組織学的検索から小細胞癌と診断した.術後1年9ヵ月を経過するも再発は認めず外来にて経過観察中である.結節...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 27; no. 7; pp. 894 - 898
Main Authors 小林, 弘明, 伊藤, 祥隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2013
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.27.894

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Summary:症例は84歳,男性.検診にて異常陰影を指摘され,精査目的に当院を受診した.胸部CTにて左下葉に径1.5×1.2 cmの結節を認めた.原発性肺癌を疑い,診断を兼ねた治療目的での手術適応と判断した.直前に冠動脈ステントを留置していたため1.5ヵ月後の手術予定としたが,その直前に行ったCTにて結節は縮小していた.経過から炎症性腫瘤と判断し経過観察の方針とした.しかしながら初診から4ヵ月後と9.5ヵ月後のCTでは結節の緩徐な増大を認めたため,改めて手術の適応と判断し胸腔鏡下左肺部分切除を行った.病理組織学的検索から小細胞癌と診断した.術後1年9ヵ月を経過するも再発は認めず外来にて経過観察中である.結節性病変に一時的な縮小を認めた場合にも,悪性腫瘍の可能性が否定できないためその後の経過観察には注意が必要である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.27.894