下血を契機に発見された空腸神経鞘腫の1例

症例は71歳の女性. 主訴は下血. 当院内科外来通院中, 黒色便, 貧血を認め, 胃潰瘍も認められたため, 胃潰瘍からの出血と思われていたが, 潰瘍改善後も時々下血を認めていた. 腹部は平坦で, 痛み, 圧痛, 腹膜刺激症状や筋性防御は認めなかった. 精査を行うに, 腹部超音波検査にて左腎内側付近に30mm大の潰瘍性病変を認め, 腹部CT検査では早期で著明に造影され, 後期でwash outされつつ造影効果は維持される腫瘍性病変を認めた. また, 小腸造影検査では, 空腸に壁外からの圧排像を認め, 同部に潰瘍面を認めた. 開腹するに, Treitz靱帯より約60cmの空腸から腸間膜に40×30...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 5; pp. 1160 - 1164
Main Authors 磯辺, 眞, 竹内, 正昭, 山口, 美樹, 田中, 真紀, 佐藤, 裕一郎, 北里, 雄平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.68.1160

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Summary:症例は71歳の女性. 主訴は下血. 当院内科外来通院中, 黒色便, 貧血を認め, 胃潰瘍も認められたため, 胃潰瘍からの出血と思われていたが, 潰瘍改善後も時々下血を認めていた. 腹部は平坦で, 痛み, 圧痛, 腹膜刺激症状や筋性防御は認めなかった. 精査を行うに, 腹部超音波検査にて左腎内側付近に30mm大の潰瘍性病変を認め, 腹部CT検査では早期で著明に造影され, 後期でwash outされつつ造影効果は維持される腫瘍性病変を認めた. また, 小腸造影検査では, 空腸に壁外からの圧排像を認め, 同部に潰瘍面を認めた. 開腹するに, Treitz靱帯より約60cmの空腸から腸間膜に40×30mm大の淡紅色の表面平滑な腫瘍を認め, 小腸部分切除術を施行した. 腫瘍は病理組織学的に比較的稀と考えられる神経鞘腫と診断された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.1160