後天性第V因子インヒビターによる出血を血漿交換で制御できなかった1例

後天性第V因子インヒビターは様々な原因で抗第V因子抗体が出現し,易出血性をきたす稀な疾患である。交差混合試験,ループスアンチコアグラント,凝固因子活性,凝固因子インヒビターを測定して診断される。治療は止血に新鮮凍結血漿や血小板製剤の投与,インヒビター除去に免疫抑制薬が投与される。無効な場合は,血漿交換を行う。本症例は直腸癌術後,末期腎不全の55歳男性が,体表の複数の血腫を主訴に,後天性第V因子インヒビターと診断された。心タンポナーデが出現し,血腫増大による貧血進行のため,高用量メチルプレドニゾロン療法,リツキシマブや輸血の大量投与を施行しても出血を制御できず,血漿交換を施行した。合計9回の血漿...

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Published in日本集中治療医学会雑誌 Vol. 24; no. 1; pp. 18 - 21
Main Authors 今長谷, 尚史, 神田, 潤, 伊藤, 史生, 麻生, 将太郎, 伊良部, 徳次, 大江, 恭司, 前島, 克哉, 糟谷, 美有紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本集中治療医学会 01.01.2017
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ISSN1340-7988
1882-966X
DOI10.3918/jsicm.24_18

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Summary:後天性第V因子インヒビターは様々な原因で抗第V因子抗体が出現し,易出血性をきたす稀な疾患である。交差混合試験,ループスアンチコアグラント,凝固因子活性,凝固因子インヒビターを測定して診断される。治療は止血に新鮮凍結血漿や血小板製剤の投与,インヒビター除去に免疫抑制薬が投与される。無効な場合は,血漿交換を行う。本症例は直腸癌術後,末期腎不全の55歳男性が,体表の複数の血腫を主訴に,後天性第V因子インヒビターと診断された。心タンポナーデが出現し,血腫増大による貧血進行のため,高用量メチルプレドニゾロン療法,リツキシマブや輸血の大量投与を施行しても出血を制御できず,血漿交換を施行した。合計9回の血漿交換を施行したが,出血を制御できず,カテーテル感染による敗血症を合併し,死亡した。血漿交換を施行しても出血を制御できない場合,他の治療法の併用を早期に検討する必要がある。
ISSN:1340-7988
1882-966X
DOI:10.3918/jsicm.24_18