乳癌肺転移に対する切除例の検討

乳癌の遠隔転移は主に骨・肺・肝であるが,転移を認めた時は全身治療が主体である.しかし最近ではoligometastases(少数転移)という概念の提唱により,肺転移のみにおける肺切除術は長期生存をもたらす可能性があるとの報告がある.今回,当院で施行した乳癌の肺転移巣に対する11切除例について検討した.平均年齢は60.1歳,乳癌手術から肺切除までの期間は平均96.7ヵ月であった.術後は転移巣のサブタイプに応じた薬物療法を行い,11例中4例は新たな遠隔転移が出現しているが,観察期間の中央値49ヵ月の現在11例全てが生存している.乳癌術後の孤立性肺腫瘍は肺転移と断定できない症例が多く,乳癌原発巣と肺...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 28; no. 5; pp. 569 - 574
Main Authors 平塚, 昌文, 岩﨑, 昭憲, 徳石, 恵太, 御鍵, 寛孝, 柳澤, 純, 濱武, 大輔, 永田, 旭, 吉永, 康照, 山下, 眞一, 白石, 武史, 吉田, 康浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2014
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.28.569

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Summary:乳癌の遠隔転移は主に骨・肺・肝であるが,転移を認めた時は全身治療が主体である.しかし最近ではoligometastases(少数転移)という概念の提唱により,肺転移のみにおける肺切除術は長期生存をもたらす可能性があるとの報告がある.今回,当院で施行した乳癌の肺転移巣に対する11切除例について検討した.平均年齢は60.1歳,乳癌手術から肺切除までの期間は平均96.7ヵ月であった.術後は転移巣のサブタイプに応じた薬物療法を行い,11例中4例は新たな遠隔転移が出現しているが,観察期間の中央値49ヵ月の現在11例全てが生存している.乳癌術後の孤立性肺腫瘍は肺転移と断定できない症例が多く,乳癌原発巣と肺転移巣のサブタイプの不一致により治療方針が変わる.したがって,診断と治療を兼ねた胸腔鏡下肺切除術により,切除可能な転移巣を切除することで予後を改善できる可能性がある.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.28.569