原発性胆汁性肝硬変の診断8年後に自己免疫性肝炎を合併したPBC-AIH overlap症候群の1例
症例は41歳女性.1999年5月,胆道系酵素,抗ミトコンドリア抗体80倍と上昇を認め肝生検にて慢性非化膿性破壊性胆管炎像(CNSDC)を呈しており,自覚症状を欠いていた.Sheuer stage Iの無症候性原発性胆汁性肝硬変(asymptomatic PBC)と診断した.以降,外来でウルソデオキシコール酸(UDCA)600 mg/day投与により良好なコントロールを得ていた.2007年10月より食欲低下,全身倦怠感が出現し血液検査ではT. bil 2.3 mg/dl,AST 607 IU/l,ALT 572 IU/lであり同年12月3日当科入院となった.肝組織はinterface hepat...
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| Published in | 肝臓 Vol. 50; no. 8; pp. 445 - 450 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
2009
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
| DOI | 10.2957/kanzo.50.445 |
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| Summary: | 症例は41歳女性.1999年5月,胆道系酵素,抗ミトコンドリア抗体80倍と上昇を認め肝生検にて慢性非化膿性破壊性胆管炎像(CNSDC)を呈しており,自覚症状を欠いていた.Sheuer stage Iの無症候性原発性胆汁性肝硬変(asymptomatic PBC)と診断した.以降,外来でウルソデオキシコール酸(UDCA)600 mg/day投与により良好なコントロールを得ていた.2007年10月より食欲低下,全身倦怠感が出現し血液検査ではT. bil 2.3 mg/dl,AST 607 IU/l,ALT 572 IU/lであり同年12月3日当科入院となった.肝組織はinterface hepatitis,形質細胞浸潤を認め活動性の自己免疫性肝炎(AIH)組織像を呈していた.治療前のAIH国際診断基準では11点でprobable AIHであり,臨床経過と総合してPBC-AIH overlap症候群と診断した.ステロイド治療を開始し自覚症状,トランスアミナーゼ,血清ビリルビンの正常化を認めた.現在,ステロイド漸減中であるが増悪を認めず外来経過観察中である.PBCの経過観察中にAIHをoverlapする症例は稀であり,文献的考察を含め報告する. |
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| ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
| DOI: | 10.2957/kanzo.50.445 |