肺動脈切離法と肺動脈損傷時の対応に関する呼吸器外科学会評議員アンケート調査結果

肺動脈損傷は肺葉切除の際の重大な合併症の一つであるが,その対処法は各外科医の経験や考え方による.我が国の実態を調査するために日本呼吸器外科学会の評議員719名にアンケートを依頼した.アンケートに回答を頂き集計し得たのは418名(58.1%)であった.肺動脈処理の手技や損傷時の対応について貴重な共有すべき結果が得られた.肺葉切除は,鏡視下が81.8%で行われており,肺動脈処理は,右肺動脈A1+3:自動縫合器93.0%,左肺動脈A3:自動縫合器83.3%,右肺動脈A2b:中枢結紮+エナジーデバイス(もしくは結紮用クリップ)65.6%であった.肺動脈損傷と修復は,90%以上の呼吸器外科医が経験してい...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 33; no. 4; pp. 486 - 496
Main Authors 佐田, 諭己, 相馬, 孝博, 吉野, 一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2019
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.33.486

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Summary:肺動脈損傷は肺葉切除の際の重大な合併症の一つであるが,その対処法は各外科医の経験や考え方による.我が国の実態を調査するために日本呼吸器外科学会の評議員719名にアンケートを依頼した.アンケートに回答を頂き集計し得たのは418名(58.1%)であった.肺動脈処理の手技や損傷時の対応について貴重な共有すべき結果が得られた.肺葉切除は,鏡視下が81.8%で行われており,肺動脈処理は,右肺動脈A1+3:自動縫合器93.0%,左肺動脈A3:自動縫合器83.3%,右肺動脈A2b:中枢結紮+エナジーデバイス(もしくは結紮用クリップ)65.6%であった.肺動脈損傷と修復は,90%以上の呼吸器外科医が経験していた.半数が500 ml以上の出血時で創の拡大を行っており,約1/4が止血操作の際に補助循環装置の使用経験を有していた.肺葉切除における呼吸器外科医の汎用している手技が今回のアンケート調査で示された.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.33.486