転移性肺腫瘍と原発性肺癌が併存した2例

多発性転移性肺腫瘍の切除標本のうち1ヵ所に原発性肺癌が併存したまれな症例を2例経験したので報告する.症例1は68歳男性.咽頭癌の多発性肺転移の診断で手術を施行した.病理組織診断で,2ヵ所に咽頭癌の転移巣,1ヵ所に原発性肺癌(腺扁平上皮癌)を認めた.症例2は,61歳女性.腎細胞癌の多発性肺転移の診断で手術を施行した.病理組織診断は,4ヵ所に腎細胞癌の肺転移巣,1ヵ所に原発性肺癌(定型カルチノイド)を認めた.転移性肺腫瘍と原発性肺癌の同時切除例は,自験例を含めて17例と稀である.たとえ,多発して転移性肺腫瘍が臨床的に強く疑われる症例でも転移以外の腫瘍が併存する可能性を考慮する必要がある.ただし,術...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 26; no. 5; pp. 503 - 509
Main Authors 富田, 栄美子, 早川, 正宣, 福原, 謙二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2012
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.26.503

Cover

More Information
Summary:多発性転移性肺腫瘍の切除標本のうち1ヵ所に原発性肺癌が併存したまれな症例を2例経験したので報告する.症例1は68歳男性.咽頭癌の多発性肺転移の診断で手術を施行した.病理組織診断で,2ヵ所に咽頭癌の転移巣,1ヵ所に原発性肺癌(腺扁平上皮癌)を認めた.症例2は,61歳女性.腎細胞癌の多発性肺転移の診断で手術を施行した.病理組織診断は,4ヵ所に腎細胞癌の肺転移巣,1ヵ所に原発性肺癌(定型カルチノイド)を認めた.転移性肺腫瘍と原発性肺癌の同時切除例は,自験例を含めて17例と稀である.たとえ,多発して転移性肺腫瘍が臨床的に強く疑われる症例でも転移以外の腫瘍が併存する可能性を考慮する必要がある.ただし,術中,術後に原発性肺癌の併存が判明するような症例では,予後を規定するのは,転移巣のことが多いので,原発性肺癌に対する肺の追加切除やリンパ節郭清を追加する必要はないと考える.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.26.503