感染性胸部下行大動脈瘤破裂に対するステントグラフト内挿術の1例

慢性透析中の感染性胸部下行大動脈瘤破裂症例に対しステントグラフトを内挿し救命し得た.症例は77歳男性.慢性透析中,シャントトラブルの為カテーテルによる透析が行われていた.カテーテル感染から MRSA 敗血症を生じ,左胸水貯留に対しドレナージが行われた.当初淡血性であったが翌日大量の血性排液を生じた.造影 CT にて胸部下行大動脈瘤および血胸を認め,救急搬送された.直ちに血管造影室で局所麻酔下にステントグラフト内挿術を行った.術後循環動態は安定し2日後に胸腔鏡下左胸腔内血腫除去を施行した.その後,内シャントを作製し抗生剤を4週間投与した.術後,1年11カ月の現在,再発の徴候無く経過している.長期...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 37; no. 5; pp. 276 - 280
Main Authors 青木, 淳, 寒川, 顕治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2008
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.37.276

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Summary:慢性透析中の感染性胸部下行大動脈瘤破裂症例に対しステントグラフトを内挿し救命し得た.症例は77歳男性.慢性透析中,シャントトラブルの為カテーテルによる透析が行われていた.カテーテル感染から MRSA 敗血症を生じ,左胸水貯留に対しドレナージが行われた.当初淡血性であったが翌日大量の血性排液を生じた.造影 CT にて胸部下行大動脈瘤および血胸を認め,救急搬送された.直ちに血管造影室で局所麻酔下にステントグラフト内挿術を行った.術後循環動態は安定し2日後に胸腔鏡下左胸腔内血腫除去を施行した.その後,内シャントを作製し抗生剤を4週間投与した.術後,1年11カ月の現在,再発の徴候無く経過している.長期予後に関しては慎重な経過観察が必要であるが,緊急時の救命手段としてステントグラフトは有用であると思われた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.37.276