YMDD変異株による急性増悪のため死亡したB型肝硬変の1例

症例は54歳女性.2001年8月B型肝硬変の診断でS病院入院.9月よりラミブジンが開始された.ウイルス量は漸減し2002年8月にはTMA法で検出感度以下となり,肝機能も改善した.2003年1月,ウイルス量の再上昇にともなって肝機能異常が出現したためS病院入院.保存的治療により肝機能は改善しウイルス量も減少した.2004年1月より再びウイルス量が増加したが,トランスアミナーゼは正常であったため経過観察された.同年9月著明な肝機能異常を認め,アデフォビルが開始された.保存的治療を行うも肝不全が進行したため,同年10月8日当院に紹介入院となった.入院時に肝性脳症が出現し,血漿交換,持続的血液濾過透析...

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Published in肝臓 Vol. 47; no. 7; pp. 329 - 333
Main Authors 後藤, 貴史, 西村, 大介, 濱崎, 圭輔, 市川, 辰樹, 田浦, 直太, 江口, 勝美, 本吉, 康英, 大久保, 和昭, 福田, 麻里子, 川下, 浩, 柴田, 英貴, 中尾, 一彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2006
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.47.329

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Summary:症例は54歳女性.2001年8月B型肝硬変の診断でS病院入院.9月よりラミブジンが開始された.ウイルス量は漸減し2002年8月にはTMA法で検出感度以下となり,肝機能も改善した.2003年1月,ウイルス量の再上昇にともなって肝機能異常が出現したためS病院入院.保存的治療により肝機能は改善しウイルス量も減少した.2004年1月より再びウイルス量が増加したが,トランスアミナーゼは正常であったため経過観察された.同年9月著明な肝機能異常を認め,アデフォビルが開始された.保存的治療を行うも肝不全が進行したため,同年10月8日当院に紹介入院となった.入院時に肝性脳症が出現し,血漿交換,持続的血液濾過透析が開始されたが,経過中に肺炎を合併し同年10月24日に永眠された.本例はYMDD変異株によるB型肝硬変の重症化のため死亡した一例であるが,アデフォビルの投与開始時期に関して示唆に富む症例と考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.47.329