難治性F0静脈瘤出血に対して左胃動脈塞栓術が奏効した特発性門脈圧亢進症の1例

症例は55歳男性,生来健康.平成12年10月吐血のため近医に入院した.上部消化管内視鏡検査で食道静脈瘤破裂を認め,内視鏡的静脈瘤結紮術と内視鏡的硬化療法を受けた.その後,吐血・治療を繰り返し,平成16年4月4回目の吐血があり,止血不能で当院に入院した.度重なる治療により粘膜はひきつれ,出血源も不明瞭であった.内視鏡的治療は困難と判断し,外科的治療を行った.術中採取した肝組織や血液検査結果より,門脈圧亢進症の原因は特発性門脈圧亢進症(IPH)と診断した.その後,約2年間は再出血しなかったが,平成18年5月吐血のため当院に再入院した.下部食道にはF0静脈瘤が発達し,内視鏡的止血を試みるも不可能であ...

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Published in肝臓 Vol. 49; no. 3; pp. 113 - 121
Main Authors 樋脇, 卓也, 馬場, 芳郎, 庄, 幸彦, 窪薗, 修, 浜之上, 雅博, 前之原, 茂穂, 平峯, 靖也, 今村, 也寸志, 宇都, 浩文, 坪内, 博仁, 田原, 憲治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2008
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.49.113

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Summary:症例は55歳男性,生来健康.平成12年10月吐血のため近医に入院した.上部消化管内視鏡検査で食道静脈瘤破裂を認め,内視鏡的静脈瘤結紮術と内視鏡的硬化療法を受けた.その後,吐血・治療を繰り返し,平成16年4月4回目の吐血があり,止血不能で当院に入院した.度重なる治療により粘膜はひきつれ,出血源も不明瞭であった.内視鏡的治療は困難と判断し,外科的治療を行った.術中採取した肝組織や血液検査結果より,門脈圧亢進症の原因は特発性門脈圧亢進症(IPH)と診断した.その後,約2年間は再出血しなかったが,平成18年5月吐血のため当院に再入院した.下部食道にはF0静脈瘤が発達し,内視鏡的止血を試みるも不可能であった.腹部血管造影検査では,左胃動脈よりすだれ様血管が抽出されたため,左胃動脈に対して経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)を施行した.TAE直後より止血され,現在まで良好に経過している.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.49.113