特発性血小板減少性紫斑病を合併した胃癌に対して幽門側胃切除,脾摘を行った1例
症例は82歳,男性.労作時の息切れを主訴に受診した.上部消化管内視鏡検査で胃前庭部大彎に3型病変を認め胃癌と診断された.また,胸部CTで右肺底部に不整形の分葉状結節陰影があり肺癌が疑われた.さらに入院時検査で血小板数の低下があり,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と診断された.ITPに対し術前に免疫グロブリン大量療法を行うも血小板の十分な増加は得られず,ステロイドを投与して手術を行った.手術では左胃動脈を温存した幽門側胃切除,D1+α郭清および脾摘を行った.ITP合併胃癌では個々の症例により脾摘の必要性を検討し,癌の部位と進行度等により適切なリンパ節郭清と胃の切除範囲を判断する必要がある.幽門...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 8; pp. 2026 - 2032 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2010
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.71.2026 |
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Summary: | 症例は82歳,男性.労作時の息切れを主訴に受診した.上部消化管内視鏡検査で胃前庭部大彎に3型病変を認め胃癌と診断された.また,胸部CTで右肺底部に不整形の分葉状結節陰影があり肺癌が疑われた.さらに入院時検査で血小板数の低下があり,特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と診断された.ITPに対し術前に免疫グロブリン大量療法を行うも血小板の十分な増加は得られず,ステロイドを投与して手術を行った.手術では左胃動脈を温存した幽門側胃切除,D1+α郭清および脾摘を行った.ITP合併胃癌では個々の症例により脾摘の必要性を検討し,癌の部位と進行度等により適切なリンパ節郭清と胃の切除範囲を判断する必要がある.幽門側胃切除と脾摘を同時に行う際には,残胃への血行を保つ工夫を行うことで同時に安全に施行できると考えられる.本稿ではITP合併胃癌に対する術前管理,手術方針,これまでの報告につき文献を踏まえて考察する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.71.2026 |