介護者の抑うつ状態や介護負担感と『介護に関する困ったことや要望』に関する自由記述との関連
要介護高齢者を介護する介護者の抑うつ状態の予防や介護負担感の軽減は大きな課題である。本研究は,「要介護高齢者を在宅で介護している介護者の抑うつ状態や介護負担感に影響を及ぼす要因分析」の一環として実施した『介護に関して困ったことや要望』の自由記述の中から,抑うつ状態や介護負担感が高い介護者の記述内容の分析を通じて,介護者の抑うつ状態の予防や介護負担感の軽減の一助とすることを目的とした。対象は,東京都内および近郊に在住する介護者237名のうち,自由記述が書かれており,なおかつ欠損値のない93名とした。方法は,自由記述の内容を意味内容の類似性によりカテゴリー別に分けた後「困ったこと」「要望」「対処行...
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| Published in | 日本健康医学会雑誌 Vol. 23; no. 2; pp. 125 - 135 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本健康医学会
2014
JAPAN HEALTH MEDICINE ASSOCIATION |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1343-0025 2423-9828 |
| DOI | 10.20685/kenkouigaku.23.2_125 |
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| Summary: | 要介護高齢者を介護する介護者の抑うつ状態の予防や介護負担感の軽減は大きな課題である。本研究は,「要介護高齢者を在宅で介護している介護者の抑うつ状態や介護負担感に影響を及ぼす要因分析」の一環として実施した『介護に関して困ったことや要望』の自由記述の中から,抑うつ状態や介護負担感が高い介護者の記述内容の分析を通じて,介護者の抑うつ状態の予防や介護負担感の軽減の一助とすることを目的とした。対象は,東京都内および近郊に在住する介護者237名のうち,自由記述が書かれており,なおかつ欠損値のない93名とした。方法は,自由記述の内容を意味内容の類似性によりカテゴリー別に分けた後「困ったこと」「要望」「対処行動」の3つのいずれかに分類した。さらに,分類した内容を,抑うつ状態や介護負担感の高得点群と低得点群の2群に分けてまとめた。結果,高得点群の介護者が64.5%であるなど,抑うつ状態や介護負担感を抱えている介護者が多いことが分かった。また,記述内容では「経済的負担感」を訴える介護者に抑うつ状態・介護負担感両方が高い傾向,「家族会利用」や「自己嫌悪」を訴える介護者に抑うつ状態が高い傾向,「拘束感」を訴える介護者に介護負担感が高い傾向が明らかになった。ケアに関わる職員は,介護者の抑うつ状態や介護負担感につながる訴えを把握し,適切な援助の手を差し伸べることによって,抑うつ状態の予防や介護負担感の軽減につながることが示唆された。 |
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| ISSN: | 1343-0025 2423-9828 |
| DOI: | 10.20685/kenkouigaku.23.2_125 |