保育者が集団に入ることが難しいと認識する気になる子どもの範囲 -発達記録を分析して

本研究では, 認可保育所に勤務する3歳児クラスの担任保育者への聞き取り調査を通して,保育者の気になる子どもの範囲を明確にすることを試みた. 担任保育者らが受け持つクラス全員の発達記録を分析して作成した発達分析表をもとに, 気になる子どもと気にならない子どもの違いを調査した結果, 気になる子どもは, クラス全体の平均発達から概ね6ヶ月以上の遅れが確認され, 特に言葉の領域における遅れが顕著であった. さらに, ADHDなどの発達障害傾向であったり, 自傷行為などの問題行動を取ったりすることで集団に入ることができない子どもも気になる子どもとして認識していた. 一方, 発達面において遅れがある子ども...

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Published in日本社会福祉マネジメント学会誌 Vol. 3; pp. 18 - 31
Main Authors 中山 奈保子, 貞松 成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本社会福祉マネジメント学会 31.03.2023
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ISSN2436-4061
DOI10.50965/jasmjournal.3.0_18

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Summary:本研究では, 認可保育所に勤務する3歳児クラスの担任保育者への聞き取り調査を通して,保育者の気になる子どもの範囲を明確にすることを試みた. 担任保育者らが受け持つクラス全員の発達記録を分析して作成した発達分析表をもとに, 気になる子どもと気にならない子どもの違いを調査した結果, 気になる子どもは, クラス全体の平均発達から概ね6ヶ月以上の遅れが確認され, 特に言葉の領域における遅れが顕著であった. さらに, ADHDなどの発達障害傾向であったり, 自傷行為などの問題行動を取ったりすることで集団に入ることができない子どもも気になる子どもとして認識していた. 一方, 発達面において遅れがある子どもであっても,成長が見られることで集団に入る見通しを立てることができたり, 保育者の加配によって保育が個別に提供されていたりする子どもは気になる子どもとして認識していなかった.
ISSN:2436-4061
DOI:10.50965/jasmjournal.3.0_18