免疫磁気ビーズ法を用いた人便からの腸管出血性大腸菌O157検査における増菌培養の検討

我々は日常検査室検査において, 人便から腸管出血性大腸菌O157を高感度に検出するために0157免疫磁気ビーズ法 (immunomagnetic separation, IMS) を使用する場合の増菌培地と培養温度について検討した. 0157の3菌株を用いて, 5種類の増菌培地につき37℃ 及び42℃ での培養温度についてそれぞれの検出効果を評価した. 使用した培地はtripticase soybroth (TSB), cefixime・potassium tellurite・vancomycin添加TSB, modified EC broth (mEC), novobiocin添加mEC (...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 74; no. 6; pp. 527 - 535
Main Authors 石橋, 邦博, 堀川, 和美, 中山, 宏, 川端, 与志子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.06.2000
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.74.527

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Summary:我々は日常検査室検査において, 人便から腸管出血性大腸菌O157を高感度に検出するために0157免疫磁気ビーズ法 (immunomagnetic separation, IMS) を使用する場合の増菌培地と培養温度について検討した. 0157の3菌株を用いて, 5種類の増菌培地につき37℃ 及び42℃ での培養温度についてそれぞれの検出効果を評価した. 使用した培地はtripticase soybroth (TSB), cefixime・potassium tellurite・vancomycin添加TSB, modified EC broth (mEC), novobiocin添加mEC (N-mEC) 及びBGLBである. 3名の健常者便に3菌株のO157を3種の菌濃度に調整したものを試料便として用いた。その結果, 便中の0157の検査においてIMSの使用は, 温度条件及び増菌培地の違いに関わらず, IMSを用いない場合に比べ高い検出率が得られることが分かった. 温度条件による増菌効果は, 5種類の増菌培地のいずれもが菌株依存性であることが分かった. また, 増菌培地はN-mECが他の4種の増菌培地に比べ最も増菌効率が高かった. 特に今回使用した群馬298株は, 便グラム当たり2~3個の菌しか存在しない場合でも, N-mECのみ検出可能であった。N-mECを増菌培地に用いた場合, 温度及び菌株による検出率の違いが少ないことが分かった。そこで我々はN-mECを増菌培地に用い, IMSによる0157感染者及び接触者便73名を検査した。その結果, 便を直接分離培養した場合の陽性者は3名であったのに対し, N-mEC及びIMSを組を合わせた場合は6名の便から0157を検出し, 検出率は上昇した。これらのことよりIMS手法にN-mECで18時間培養した培養液を用いることにより, 人便を材料とした日常検査でも, 低菌量の人便からのO157の検出が可能となるものと考えられた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.74.527