ヒト下痢症および健康牛から分離したVero毒素産生性大腸菌O157: H7 (VTECO157: H7) における薬剤感受性

Vero毒素産生性大腸菌 (VTEC) 感染症の感染源解明の0環として, 1986年-1995年の期間にヒト感染性腸炎から分離されたO157: H7株と2001年-2003年の期間に乳牛糞便から分離されたO157: H7株を対象に, ヒトや動物の各種感染症の治療薬として広く常用されている薬剤を用い薬剤感受性試験を行ったところ, 以下の成績が得られた. 1) 供試薬剤20種類を用いて, ヒト下痢症由来52株と乳牛由来100株の計152株について薬剤感受性試験を行ったところ, 115株 (75.7%) に耐性株が認められた.その内訳はヒト下痢症由来では52株中36株 (69.2%), 乳牛由来では...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 79; no. 7; pp. 451 - 456
Main Authors 古畑, 勝則, 原, 元宣, 中澤, 宗生, 大仲, 賢二, 福山, 正文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.07.2005
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.79.451

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Summary:Vero毒素産生性大腸菌 (VTEC) 感染症の感染源解明の0環として, 1986年-1995年の期間にヒト感染性腸炎から分離されたO157: H7株と2001年-2003年の期間に乳牛糞便から分離されたO157: H7株を対象に, ヒトや動物の各種感染症の治療薬として広く常用されている薬剤を用い薬剤感受性試験を行ったところ, 以下の成績が得られた. 1) 供試薬剤20種類を用いて, ヒト下痢症由来52株と乳牛由来100株の計152株について薬剤感受性試験を行ったところ, 115株 (75.7%) に耐性株が認められた.その内訳はヒト下痢症由来では52株中36株 (69.2%), 乳牛由来では100株中79株 (79%) であった. 2) ヒト下痢症由来株と乳牛由来株について供試薬剤別にMIC90を比較したところ, 全般的にヒト下痢症由来株の方が乳牛由来株に比べ, 感受性がやや強い傾向が認められた. 3) 耐性が認められた115株の薬剤耐性パターンは単剤耐性が80株 (684%) と最も多く, 多剤耐性は35株 (30.4%) であった.その内訳は3剤耐性が17株, 2剤耐性が14株, 4剤耐性と5剤耐性が各2株であった.また, 多剤耐性は乳牛由来株に多い傾向が認められた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.79.451