小児上咽頭より検出されたHaemophilus influenzaeの経口抗生物質に対する薬剤感受性に関する検討

1986年, 1988年, 1991年に耳鼻咽喉科を受診し, 急性中耳炎もしくは慢性副鼻腔炎急性増悪例と診断された小児のうち, 上咽頭細菌検査でH. influenzaeが検出された189名を対象として経口抗生物質に対する薬剤感受性の推移を検討した. ABPC, CCL, EMに対するMIC50およびMIC90値は1986年と1991年でほとんど変化がみられなかった.MINOはMIC50値が1991年に1986年より2管低い値を示し, 薬剤感受性の回復を認めた.1986年と1991年の耐性菌検出率を比較するとABPCは若干低下, CCLは若干上昇, EMは軽度上昇する傾向を示した.1991年に...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 68; no. 7; pp. 842 - 847
Main Author 冨山, 道夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.07.1994
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.68.842

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Summary:1986年, 1988年, 1991年に耳鼻咽喉科を受診し, 急性中耳炎もしくは慢性副鼻腔炎急性増悪例と診断された小児のうち, 上咽頭細菌検査でH. influenzaeが検出された189名を対象として経口抗生物質に対する薬剤感受性の推移を検討した. ABPC, CCL, EMに対するMIC50およびMIC90値は1986年と1991年でほとんど変化がみられなかった.MINOはMIC50値が1991年に1986年より2管低い値を示し, 薬剤感受性の回復を認めた.1986年と1991年の耐性菌検出率を比較するとABPCは若干低下, CCLは若干上昇, EMは軽度上昇する傾向を示した.1991年に検出されたCCL耐性株はABPCとEMに耐性を示す株が多く, CFIXとNFLXに対する感受性は良好であった. CCL耐性株の今後の動向に注意する必要があるが, ABPCとCCLの耐性菌検出率に大きな変化はなく, H. influenzaeの感染による小児急性中耳炎, 慢性副鼻腔炎急性増悪例ではABPCとCCLが現在でも第一選択剤になりうるものと考えられた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.68.842