内科および外科領域における重症感染症に対する静注用人免疫グロブリン (GV-523) と抗生剤との併用効果
昭和56年2月から昭和57年4月までに31研究施設に入院した重症感染症で, 3日以上の抗生剤による治療効果が不十分かあるいは認められなかった患者276例を対象として, 新しく開発された非修飾静注用人免疫グロブリン製剤GV-523と抗生剤との併用療法の安全性と有用性について検討した. GV-523は重症感染症に対して, 抗生剤と併用して, その治療効果が期待され, 安全かつ有用な静注用人免疫グロブリン製剤であると思われる結果を得たので報告する. 主治医判定の評価対象は247例で, 著効30例, 有効88例, やや有効61例, 無効68例であり, 有効率は47.8%であった. 判定委員会判定におけ...
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| Published in | 感染症学雑誌 Vol. 57; no. 8; pp. 724 - 749 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本感染症学会
01.08.1983
|
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0387-5911 1884-569X |
| DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.57.724 |
Cover
| Abstract | 昭和56年2月から昭和57年4月までに31研究施設に入院した重症感染症で, 3日以上の抗生剤による治療効果が不十分かあるいは認められなかった患者276例を対象として, 新しく開発された非修飾静注用人免疫グロブリン製剤GV-523と抗生剤との併用療法の安全性と有用性について検討した. GV-523は重症感染症に対して, 抗生剤と併用して, その治療効果が期待され, 安全かつ有用な静注用人免疫グロブリン製剤であると思われる結果を得たので報告する. 主治医判定の評価対象は247例で, 著効30例, 有効88例, やや有効61例, 無効68例であり, 有効率は47.8%であった. 判定委員会判定における採用症例は124例で, 著効37例, 有効41例, やや有効8例, 無効38例であり, 有効率は62.9%であった. また, 細菌感染症91例, ウィルス感染症11例, 真菌感染症6例および不明熱16例における有効率は, それぞれ61.5%, 81.8%, 66.7%および56.3%であった. 基礎疾患の種類, 感染症の種類, 病原体の種類ならびにGV-523の投与量と臨床効果の関係について検討したが一定の傾向は認められなかった. 副作用は276症例中6例 (2.2%) に認められ, その中GV-523投与と因果関係ありと判断されるものは3例 (1.1%) であり, いずれも実用上問題と考えられるものはなかった. |
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| AbstractList | 昭和56年2月から昭和57年4月までに31研究施設に入院した重症感染症で, 3日以上の抗生剤による治療効果が不十分かあるいは認められなかった患者276例を対象として, 新しく開発された非修飾静注用人免疫グロブリン製剤GV-523と抗生剤との併用療法の安全性と有用性について検討した. GV-523は重症感染症に対して, 抗生剤と併用して, その治療効果が期待され, 安全かつ有用な静注用人免疫グロブリン製剤であると思われる結果を得たので報告する. 主治医判定の評価対象は247例で, 著効30例, 有効88例, やや有効61例, 無効68例であり, 有効率は47.8%であった. 判定委員会判定における採用症例は124例で, 著効37例, 有効41例, やや有効8例, 無効38例であり, 有効率は62.9%であった. また, 細菌感染症91例, ウィルス感染症11例, 真菌感染症6例および不明熱16例における有効率は, それぞれ61.5%, 81.8%, 66.7%および56.3%であった. 基礎疾患の種類, 感染症の種類, 病原体の種類ならびにGV-523の投与量と臨床効果の関係について検討したが一定の傾向は認められなかった. 副作用は276症例中6例 (2.2%) に認められ, その中GV-523投与と因果関係ありと判断されるものは3例 (1.1%) であり, いずれも実用上問題と考えられるものはなかった. |
| Author | 真下, 啓明 |
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| Publisher | 一般社団法人 日本感染症学会 |
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| References | 21) 中村東樹, 津田和矩: 免疫グロブリン製剤COG-78の使用経験. 基礎と臨床, 16: 4830-4835, 1982. 1) Waisbren, B. A.: Treatment of bacterial infection with the combination of antibiotics and gamma globulin. Antibio & .Chemotherapy, 7: 332-333, 1957. 12) 松倉裕美, 黒島振重郎, 田辺達三: 静注用ガンマグロブリン投与法. 術後呼吸器感染症合併症53例における統計学的検討. 第1報. 外科, 43: 389-395, 1981. 17) 関塚宏巳, 田中満善, 春山茂雄, 白倉徹哉, 桐渕義康, 林文彦, 河野信博: グロブリン-Sの外科領域における使用経験. 診療と新薬, 15: 425-433, 1978. 19) 土居純, 高桑正道, 東雲正剛, 小峰光博, 前川正, 佐藤貞夫, 八代邦彦, 島野俊一: 血液疾患とくに急性白血病合併重症感染症に対する静注用免疫グロブリン (SR-745) の使用経験. 診療と新薬, 16: 2097-2100, 1979. 6) 富岡治明, 鈴木洋二, 大森斉, 橋本喜信, 野口照久, 岩村善利, 進卓夫, 大友信也: Globulin-Sの薬効. (第1報). 静注用スルポ化ヒト免疫Globulinの実験的マウス感染症に対する薬効に関する研究. 応用薬理, 14: 951-957, 1977. 8) 土居卓治, 中島常隆, 平尾豊, 須山忠和: Venoglobulin®-I (Intact IgG) のマウス縁膿菌感染症に対する効果. ヴェノグロブリン®-I医学文献集 (医学書房). 臨床編, 1: 112-115, 1980. 16) 高橋郁夫, 李哉昇, 杉本久之, 葛原敬八郎, 草場亮輔, 山田豊, 大坪修, 稲生綱政: グロブリン-Sの臨床応用. 診療と新薬, 15: 417-424, 1978. 7) 富岡治明, 大森斉, 鈴木洋二, 橋本喜信, 野口照久, 岩村善利, 進卓夫, 大友信也: Globulin-Sの薬効. (第3報). 静注用スルホ化ヒト免疫Globulinによる実験的マウス感染症における抗生剤との治療効果に関する研究. 応用薬理, 15: 1157-1167, 1978. 3) 須山忠和, 小黒義五郎: 各種化学療法剤と人血清ガンマグロブリンとの併用増加効果に関する研究 (第1報). J. Antibio., Ser. B., 16: 317-322, 1963. 22) 古田昭一, 浅野献一, 新井達太, 井上正, 石井淳一, 坂内五郎, 庄司佑, 鈴木章夫, 瀬在幸安, 高橋雅俊, 常本実, 松本昭彦, 水野明: 術後重症感染症に対するGlobulin-N (無修飾・静注用グロブリン製剤) の使用経験. 診療と新薬, 18: 1799-1816, 1981. 18) Venoglobulin-I研究会: 重症感染症に対するVenoglobulin-Iの使用経験.ヴェノグロブリン®-I, 医学文献集 (医学書房). 臨床編, 1: 1-22, 1980. 23) 柴田泰生, 未広健, 青木幹男, 高橋勤, 馬場誠, 国行昌瀬, 浅川英男, 藤井張生: 抗HBs人免疫グロブリン各種製剤の健康人投与による抗体の血中動態について. 診療と新薬, 19: 494-469, 1982. 11) 坂上正道: Gamma-Veninの使用成績. 小児科, 11: 661-668, 1970. 14) 正岡徹: 内科領域の重症感染症に対する臨床効果, 免疫グロブリン療法 (真下啓明編著). シンポジウム記録, 79-86, 1979. 15) 稲田正男, 浅野哲, 豊田忠之, 池永達雄, 樋上駿, 小林順弘, 碓井昌: グロブリン-Sの外科領域における使用経験. 診療と新薬, 15: 407-415, 1978. 4) 須山忠和, 小黒義五郎, 土居卓治: 各種化学療法剤と人血清ガンマグロブリンとの併用増加効果に関する研究 (第3報). J. Antibio., Ser. B., 18: 21-26, 1965. 20) 由良二郎, 品川長夫, 石井周, 高岡哲郎, 花井拓美, 松垣啓司: 外科領域における重症感染症に対する静注用γ-グロブリン (SH-745) の臨床使用成績. 診療と新薬, 16: 2237-2245, 1979. 13) 杉本正邦, 若林芳久, 片岡二郎, 野本晴夫: 白血病髄伴感染症に対する静注用ガンマグロブリン療法に関する臨床的検討. 診療と新薬, 17: 1141-1149, 1980. 2) Fischer, M. W.: Synergism between human gamma globulin and chloramphenicol in the treatment of experimental bacterial infections.Antibio. & Chemotherapy, 7: 315-21, 1957. 9) 西武, 近藤正煕, 土屋皖司: 人免疫グロブリンGV-523の効果について.マウス実験的腹腔内感染症における単独および抗菌剤との併用効果. 5) 須山忠和, 小黒義五郎, 土居卓治: 各種化学療法剤と人血清ガンマグロブリンとの併用増加効果に関する研究 (第2報). J. Antibio., Ser. B., 18: 21-26, 1965. 10) 早川浩: 薬剤としてのガンマグロブリンの臨床応用. 静注用について. 小児科診療, 32: 1135-1141, 1969. |
| References_xml | – reference: 10) 早川浩: 薬剤としてのガンマグロブリンの臨床応用. 静注用について. 小児科診療, 32: 1135-1141, 1969. – reference: 1) Waisbren, B. A.: Treatment of bacterial infection with the combination of antibiotics and gamma globulin. Antibio & .Chemotherapy, 7: 332-333, 1957. – reference: 11) 坂上正道: Gamma-Veninの使用成績. 小児科, 11: 661-668, 1970. – reference: 16) 高橋郁夫, 李哉昇, 杉本久之, 葛原敬八郎, 草場亮輔, 山田豊, 大坪修, 稲生綱政: グロブリン-Sの臨床応用. 診療と新薬, 15: 417-424, 1978. – reference: 23) 柴田泰生, 未広健, 青木幹男, 高橋勤, 馬場誠, 国行昌瀬, 浅川英男, 藤井張生: 抗HBs人免疫グロブリン各種製剤の健康人投与による抗体の血中動態について. 診療と新薬, 19: 494-469, 1982. – reference: 7) 富岡治明, 大森斉, 鈴木洋二, 橋本喜信, 野口照久, 岩村善利, 進卓夫, 大友信也: Globulin-Sの薬効. (第3報). 静注用スルホ化ヒト免疫Globulinによる実験的マウス感染症における抗生剤との治療効果に関する研究. 応用薬理, 15: 1157-1167, 1978. – reference: 8) 土居卓治, 中島常隆, 平尾豊, 須山忠和: Venoglobulin®-I (Intact IgG) のマウス縁膿菌感染症に対する効果. ヴェノグロブリン®-I医学文献集 (医学書房). 臨床編, 1: 112-115, 1980. – reference: 5) 須山忠和, 小黒義五郎, 土居卓治: 各種化学療法剤と人血清ガンマグロブリンとの併用増加効果に関する研究 (第2報). J. Antibio., Ser. B., 18: 21-26, 1965. – reference: 17) 関塚宏巳, 田中満善, 春山茂雄, 白倉徹哉, 桐渕義康, 林文彦, 河野信博: グロブリン-Sの外科領域における使用経験. 診療と新薬, 15: 425-433, 1978. – reference: 9) 西武, 近藤正煕, 土屋皖司: 人免疫グロブリンGV-523の効果について.マウス実験的腹腔内感染症における単独および抗菌剤との併用効果. – reference: 6) 富岡治明, 鈴木洋二, 大森斉, 橋本喜信, 野口照久, 岩村善利, 進卓夫, 大友信也: Globulin-Sの薬効. (第1報). 静注用スルポ化ヒト免疫Globulinの実験的マウス感染症に対する薬効に関する研究. 応用薬理, 14: 951-957, 1977. – reference: 22) 古田昭一, 浅野献一, 新井達太, 井上正, 石井淳一, 坂内五郎, 庄司佑, 鈴木章夫, 瀬在幸安, 高橋雅俊, 常本実, 松本昭彦, 水野明: 術後重症感染症に対するGlobulin-N (無修飾・静注用グロブリン製剤) の使用経験. 診療と新薬, 18: 1799-1816, 1981. – reference: 12) 松倉裕美, 黒島振重郎, 田辺達三: 静注用ガンマグロブリン投与法. 術後呼吸器感染症合併症53例における統計学的検討. 第1報. 外科, 43: 389-395, 1981. – reference: 15) 稲田正男, 浅野哲, 豊田忠之, 池永達雄, 樋上駿, 小林順弘, 碓井昌: グロブリン-Sの外科領域における使用経験. 診療と新薬, 15: 407-415, 1978. – reference: 14) 正岡徹: 内科領域の重症感染症に対する臨床効果, 免疫グロブリン療法 (真下啓明編著). シンポジウム記録, 79-86, 1979. – reference: 2) Fischer, M. W.: Synergism between human gamma globulin and chloramphenicol in the treatment of experimental bacterial infections.Antibio. & Chemotherapy, 7: 315-21, 1957. – reference: 3) 須山忠和, 小黒義五郎: 各種化学療法剤と人血清ガンマグロブリンとの併用増加効果に関する研究 (第1報). J. Antibio., Ser. B., 16: 317-322, 1963. – reference: 4) 須山忠和, 小黒義五郎, 土居卓治: 各種化学療法剤と人血清ガンマグロブリンとの併用増加効果に関する研究 (第3報). J. Antibio., Ser. B., 18: 21-26, 1965. – reference: 19) 土居純, 高桑正道, 東雲正剛, 小峰光博, 前川正, 佐藤貞夫, 八代邦彦, 島野俊一: 血液疾患とくに急性白血病合併重症感染症に対する静注用免疫グロブリン (SR-745) の使用経験. 診療と新薬, 16: 2097-2100, 1979. – reference: 20) 由良二郎, 品川長夫, 石井周, 高岡哲郎, 花井拓美, 松垣啓司: 外科領域における重症感染症に対する静注用γ-グロブリン (SH-745) の臨床使用成績. 診療と新薬, 16: 2237-2245, 1979. – reference: 21) 中村東樹, 津田和矩: 免疫グロブリン製剤COG-78の使用経験. 基礎と臨床, 16: 4830-4835, 1982. – reference: 18) Venoglobulin-I研究会: 重症感染症に対するVenoglobulin-Iの使用経験.ヴェノグロブリン®-I, 医学文献集 (医学書房). 臨床編, 1: 1-22, 1980. – reference: 13) 杉本正邦, 若林芳久, 片岡二郎, 野本晴夫: 白血病髄伴感染症に対する静注用ガンマグロブリン療法に関する臨床的検討. 診療と新薬, 17: 1141-1149, 1980. |
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| SourceType | Publisher |
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| Title | 内科および外科領域における重症感染症に対する静注用人免疫グロブリン (GV-523) と抗生剤との併用効果 |
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