多発下咽頭表在癌の経口的切除術後瘢痕狭窄予防のために段階的 切除とトリアムシノロンアセトニドの局所注射を施行した1例

頭頸部表在癌治療は主に経口的切除術と放射線療法である。治療方針は年齢,既往歴,病変の部位,深達度,範囲等を鑑みて決定するが,多発・広範な場合は特に慎重な検討が必要である。症例は胸部食道表在癌に対して内視鏡治療歴のある78歳男性で,下咽頭の両側梨状陥凹と後壁に表在癌を認めた。放射線療法も検討されたが,多発・重複癌であり,今後の再発・新規病変への対応を考慮して経口的切除術を選択した。広範かつ複数亜部位の切除になることから術後瘢痕狭窄予防として段階的切除とトリアムシノロンアセトニドの局所注射を実施し,局所制御および常食摂取を達成している。多発下咽頭表在癌の対応について重要な示唆を得たので報告する。...

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Published in頭頸部外科 Vol. 29; no. 3; pp. 349 - 354
Main Authors 江口, 紘太郎, 白倉, 聡, 杉本, 太郎, 向井, 昌功
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2020
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.29.349

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Summary:頭頸部表在癌治療は主に経口的切除術と放射線療法である。治療方針は年齢,既往歴,病変の部位,深達度,範囲等を鑑みて決定するが,多発・広範な場合は特に慎重な検討が必要である。症例は胸部食道表在癌に対して内視鏡治療歴のある78歳男性で,下咽頭の両側梨状陥凹と後壁に表在癌を認めた。放射線療法も検討されたが,多発・重複癌であり,今後の再発・新規病変への対応を考慮して経口的切除術を選択した。広範かつ複数亜部位の切除になることから術後瘢痕狭窄予防として段階的切除とトリアムシノロンアセトニドの局所注射を実施し,局所制御および常食摂取を達成している。多発下咽頭表在癌の対応について重要な示唆を得たので報告する。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.29.349