腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術後腸閉塞の1例

症例は74歳,女性.平成28年に他院で両側鼠径ヘルニア,左大腿ヘルニアに対して腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を施行された.術後7カ月目に腸閉塞を発症し来院した.CTでは左下腹部で小腸の口径差を認め,癒着性腸閉塞と診断し,イレウス管を挿入し保存的加療を行った.1週間の保存的加療を行うも改善しないため手術の方針とした.腹腔鏡下に腹腔内を観察したところ,左鼠径部のメッシュ留置部位に小腸が癒着し口側腸管の拡張を認めた.メッシュやタッカーと腸管が強固に癒着しており腹腔鏡下での手術継続は困難と考え,開腹手術へ移行した.メッシュと小腸の癒着剥離行ったが狭窄や漿膜損傷を認め,小腸部分切除術を施行した.メッシュはそ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 10; pp. 1854 - 1858
Main Authors 藤井, 幸治, 楠田, 司, 中川, 勇希, 宮原, 成樹, 松本, 英一, 高橋, 幸二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.1854

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Summary:症例は74歳,女性.平成28年に他院で両側鼠径ヘルニア,左大腿ヘルニアに対して腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を施行された.術後7カ月目に腸閉塞を発症し来院した.CTでは左下腹部で小腸の口径差を認め,癒着性腸閉塞と診断し,イレウス管を挿入し保存的加療を行った.1週間の保存的加療を行うも改善しないため手術の方針とした.腹腔鏡下に腹腔内を観察したところ,左鼠径部のメッシュ留置部位に小腸が癒着し口側腸管の拡張を認めた.メッシュやタッカーと腸管が強固に癒着しており腹腔鏡下での手術継続は困難と考え,開腹手術へ移行した.メッシュと小腸の癒着剥離行ったが狭窄や漿膜損傷を認め,小腸部分切除術を施行した.メッシュはそのまま留置し,腹膜欠損孔は縫合閉鎖し手術を終了した.腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術後には閉鎖した腹膜の離開による腸閉塞をきたす可能性があり,腹膜縫合の際には隙間のない強固な縫合閉鎖が必要であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.1854