ユニタルクにより胸壁外にFDG高集積異物肉芽腫を発症した1例

【背景】重篤な副作用もなく安全に使用できるユニタルクは胸膜癒着術で使用されている.【症例】79歳の女性で,4年前に胸水貯留を指摘され,胸水細胞診で肺腺癌の診断となった.胸水が増量したため胸腔穿刺後に,ユニタルクで胸膜癒着療法を施行した.その後化学療法を施行し播種病変の縮小及び胸水減少を認めたが,胸腔内及び胸壁にCTで石灰化を伴うFDG高集積の腫瘤を認め,胸腔穿刺による播種病変が胸壁外に出現したと考えられた.胸壁腫瘤が増大傾向となったため手術で摘出した.病理検査ではタルクによる異物肉芽腫と診断された.【結論】胸膜癒着を目指した薬剤の胸腔内投与にて異物肉芽腫を発症した場合,腫瘍性病変との鑑別が困難...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 1; pp. 24 - 28
Main Authors 佐藤, 雅美, 酒瀬川, 浩一, 脇田, 和博, 柳, 正和, 上村, 豪
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2018
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.32.24

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Summary:【背景】重篤な副作用もなく安全に使用できるユニタルクは胸膜癒着術で使用されている.【症例】79歳の女性で,4年前に胸水貯留を指摘され,胸水細胞診で肺腺癌の診断となった.胸水が増量したため胸腔穿刺後に,ユニタルクで胸膜癒着療法を施行した.その後化学療法を施行し播種病変の縮小及び胸水減少を認めたが,胸腔内及び胸壁にCTで石灰化を伴うFDG高集積の腫瘤を認め,胸腔穿刺による播種病変が胸壁外に出現したと考えられた.胸壁腫瘤が増大傾向となったため手術で摘出した.病理検査ではタルクによる異物肉芽腫と診断された.【結論】胸膜癒着を目指した薬剤の胸腔内投与にて異物肉芽腫を発症した場合,腫瘍性病変との鑑別が困難となる.タルクによる胸膜癒着術を行った後にFDG高集積の胸膜腫瘤が出現した場合には播種性病変か肉芽腫か,または両者であるか慎重に検討する必要があると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.24