区域切除を行った肺動脈縦隔型分岐の1例

肺動脈走行異常に対する肺葉切除術は散見されるが,区域切除術を行った報告はみられない.症例は60歳男性.2ヵ月前に右肺腺癌に対して右下葉切除とS2区域切除を施行した.さらに左下葉S8肺癌,左上葉肺癌に対して左S8+9区域切除と左上葉部分切除術を行った.術前3D-CTにて左A8b+9b+10bが縦隔枝で上肺静脈と気管支の間からS8,S9に分布し,A8b+9bは下肺静脈の腹側,A10bは背側を走行していた.術中は葉間から全ての血管同定を行った.もう1本のA8bがA10bからも分岐し,術前3D-CTでは描出されていなかった.手術時間315分,出血量60 g.完全胸腔鏡下手術で安全に完遂できた.肺動脈走...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 1; pp. 99 - 103
Main Authors 町野, 隆介, 田川, 努, 持永, 浩史, 辻, 博治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2018
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.32.99

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Summary:肺動脈走行異常に対する肺葉切除術は散見されるが,区域切除術を行った報告はみられない.症例は60歳男性.2ヵ月前に右肺腺癌に対して右下葉切除とS2区域切除を施行した.さらに左下葉S8肺癌,左上葉肺癌に対して左S8+9区域切除と左上葉部分切除術を行った.術前3D-CTにて左A8b+9b+10bが縦隔枝で上肺静脈と気管支の間からS8,S9に分布し,A8b+9bは下肺静脈の腹側,A10bは背側を走行していた.術中は葉間から全ての血管同定を行った.もう1本のA8bがA10bからも分岐し,術前3D-CTでは描出されていなかった.手術時間315分,出血量60 g.完全胸腔鏡下手術で安全に完遂できた.肺動脈走行異常がある場合,術前3D-CT,葉間からの分枝確認が重要である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.99