重症化した急性虫垂炎が原因と考えられる肝膿瘍の1例

患者は58歳の男性で全身倦怠感,発熱を主訴に受診した.右下腹部に腫瘤を触知し腹膜刺激症状を認めた.血液検査結果で高度の炎症反応と肝機能障害を併発していた.腹部造影CTにて隔壁様構造を伴う腫大した虫垂および肝S5に長径70mmの肝膿瘍を認め緊急手術を施行した.壊疽性虫垂を切除後,エコーガイドで経皮経肝的に肝膿瘍にドレナージチューブを留置した.膿瘍穿刺液の培養検査で菌体は検出されなかったが,術前の血液培養ではFusobacterium sp.を認めた.術後,抗生剤および免疫グロブリン製剤を投与し術後32日目に軽快退院となった.本邦において急性虫垂炎が契機と考えられる化膿性肝膿瘍の症例報告は自験例を...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 11; pp. 3125 - 3128
Main Authors 若狭, 基見, 山崎, 茂樹, 石原, 陽介, 北出, 貴嗣, 園山, 輝久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.3125

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Summary:患者は58歳の男性で全身倦怠感,発熱を主訴に受診した.右下腹部に腫瘤を触知し腹膜刺激症状を認めた.血液検査結果で高度の炎症反応と肝機能障害を併発していた.腹部造影CTにて隔壁様構造を伴う腫大した虫垂および肝S5に長径70mmの肝膿瘍を認め緊急手術を施行した.壊疽性虫垂を切除後,エコーガイドで経皮経肝的に肝膿瘍にドレナージチューブを留置した.膿瘍穿刺液の培養検査で菌体は検出されなかったが,術前の血液培養ではFusobacterium sp.を認めた.術後,抗生剤および免疫グロブリン製剤を投与し術後32日目に軽快退院となった.本邦において急性虫垂炎が契機と考えられる化膿性肝膿瘍の症例報告は自験例を含め12例であった.若干の文献的考察を加えこれを報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.3125