術前術中の診断に苦慮した糖反応性低血糖を示すインスリノーマの1例

症例は79歳の男性,膵インスリノーマに対して2度の手術歴があり,再び低血糖症状が出現したため再発を疑った.しかし,空腹時血糖は75mg/dlで血中空腹時インスリン濃度(IRI)は4.5μIU/mlと正常範囲内,経口ブドウ糖負荷試験でインスリン過剰分泌と低血糖を認め,糖反応性低血糖との鑑別を要した.造影CTで膵尾部切離端に20mm大の腫瘍性病変とその頭側に13mm大の転移を疑う結節を認め,ソマトスタチン受容体シンチグラフィで同部位に集積,EUS-FNAで病理学的にインスリノーマ再発と診断.IRIが正常であり,多発病変の根治切除を確認するため術中経静脈糖負荷試験を施行.腫瘍摘出前は負荷後IRI 4...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 12; pp. 2501 - 2506
Main Authors 大塚, 将之, 古川, 勝規, 吉富, 秀幸, 大藏, 良介, 久保木, 知, 高屋敷, 吏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.2501

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Summary:症例は79歳の男性,膵インスリノーマに対して2度の手術歴があり,再び低血糖症状が出現したため再発を疑った.しかし,空腹時血糖は75mg/dlで血中空腹時インスリン濃度(IRI)は4.5μIU/mlと正常範囲内,経口ブドウ糖負荷試験でインスリン過剰分泌と低血糖を認め,糖反応性低血糖との鑑別を要した.造影CTで膵尾部切離端に20mm大の腫瘍性病変とその頭側に13mm大の転移を疑う結節を認め,ソマトスタチン受容体シンチグラフィで同部位に集積,EUS-FNAで病理学的にインスリノーマ再発と診断.IRIが正常であり,多発病変の根治切除を確認するため術中経静脈糖負荷試験を施行.腫瘍摘出前は負荷後IRI 410μIU/mlと上昇し低血糖を認めたが,摘出後はIRIの上昇は軽度で低血糖は認めず根治切除と判断,術後低血糖発作を認めなかった.診断に苦慮し術中糖負荷試験が完全切除の確認に有効であった1例を報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.2501