腹腔鏡下に切除した骨盤内chronic expanding hematomaの1例

症例は72歳,男性.血尿を主訴に受診し,左腎結石の再発を認めた.精査のCTで偶発的に左骨盤内腹膜外腔に4cm大の腫瘤を指摘された.悪性腫瘍も否定できないため,腹腔鏡下に手術を施行した.腫瘤は弾性硬で褐色被膜に覆われており,病理学的検査で慢性拡張型血腫(chronic expanding hematoma;以下,CEH)と診断された.CEHは,手術や外傷を契機に生じた血腫が自然吸収されずに緩徐に増大するものと定義される.自験例は,左骨盤内にCEHを発生し得る手術・外傷歴はなく,難治性左腎・尿管結石に対し複数回施行された体外衝撃波結石破砕術(ESWL)が原因となった可能性が考えられた.今回われわれ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 10; pp. 2558 - 2563
Main Authors 小林, 健二, 江本, 桂, 石田, 隆, 篠崎, 浩治, 若林, 大雅, 尾形, 佳郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.2558

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Summary:症例は72歳,男性.血尿を主訴に受診し,左腎結石の再発を認めた.精査のCTで偶発的に左骨盤内腹膜外腔に4cm大の腫瘤を指摘された.悪性腫瘍も否定できないため,腹腔鏡下に手術を施行した.腫瘤は弾性硬で褐色被膜に覆われており,病理学的検査で慢性拡張型血腫(chronic expanding hematoma;以下,CEH)と診断された.CEHは,手術や外傷を契機に生じた血腫が自然吸収されずに緩徐に増大するものと定義される.自験例は,左骨盤内にCEHを発生し得る手術・外傷歴はなく,難治性左腎・尿管結石に対し複数回施行された体外衝撃波結石破砕術(ESWL)が原因となった可能性が考えられた.今回われわれは,腹腔鏡下手術を施行した極めて稀なCEHの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.2558