急性肝不全に対する抗凝固療法中に左上腕部筋肉内血腫が増悪した重症型アルコール性肝炎の1例

25歳女性.20歳時からアルコールを多飲,入院加療歴があった.2009年12月初旬から倦怠感,発熱,黄疸が出現,症状発現15日後に当科入院した.重症型アルコール性肝炎と診断,アンチトロンビン(AT)濃縮製剤などの抗凝固療法を行った.全身状態,肝機能とも改善傾向であったが,血圧測定後に出現した左上腕の皮下血腫が体幹まで拡大し貧血が進行,造影CTでは左上腕部に筋肉内血腫を認めた.圧迫止血を強化し,血腫の進展は止まったが,持続的なAT-III低下に対して再度AT濃縮製剤を投与したところ,筋肉内血腫の増悪と貧血の進行がみられた.急性肝不全では抗凝固療法が有用とされるが,筋肉内血腫で死亡した症例も報告さ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in肝臓 Vol. 52; no. 1; pp. 18 - 25
Main Authors 蔡, 榮鴻, 桶谷, 眞, 馬渡, 誠一, 森内, 昭博, 最勝寺, 晶子, 井戸, 章雄, 小田, 耕平, 橋口, 正史, 馬場, 善政, 熊谷, 公太郎, 呉, 建, 宇都, 浩文, 坪内, 博仁, 玉井, 努
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2011
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.52.18

Cover

More Information
Summary:25歳女性.20歳時からアルコールを多飲,入院加療歴があった.2009年12月初旬から倦怠感,発熱,黄疸が出現,症状発現15日後に当科入院した.重症型アルコール性肝炎と診断,アンチトロンビン(AT)濃縮製剤などの抗凝固療法を行った.全身状態,肝機能とも改善傾向であったが,血圧測定後に出現した左上腕の皮下血腫が体幹まで拡大し貧血が進行,造影CTでは左上腕部に筋肉内血腫を認めた.圧迫止血を強化し,血腫の進展は止まったが,持続的なAT-III低下に対して再度AT濃縮製剤を投与したところ,筋肉内血腫の増悪と貧血の進行がみられた.急性肝不全では抗凝固療法が有用とされるが,筋肉内血腫で死亡した症例も報告されており注意が必要である.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.52.18