悪性腫瘍との鑑別が困難であった肝硬化性血管腫の1例

症例は74歳,女性.高血圧にて近医に通院中,腹部エコーにて肝腫瘍を指摘され当院に紹介となった.腹部エコーにて肝S2に17mm大の境界明瞭で内部均質な低エコー腫瘤を認めた.造影CTでは,動脈相で辺縁部がリング状に濃染され,平衡相で内部が不均一に造影された.EOB-MRIではT1強調像にて低信号,脂肪抑制T2強調像で高信号を呈していた.また造影動脈相では辺縁に輪状の,内部には点状の信号増強を示していた.FDG-PETでは明らかな異常集積を認めなかった.悪性腫瘍を否定できず肝外側区域切除を施行した.術中所見では,肝S2に辺縁不整,比較的軟らかい灰白色の腫瘍を認めた.病理組織学的検査では硬化性の小血管...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 4; pp. 965 - 971
Main Authors 富永, 正寛, 大林, 千穂, 前田, 裕巳, 三上, 城太, 千堂, 宏義, 藤野, 泰宏, 狛, 雄一朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.965

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Summary:症例は74歳,女性.高血圧にて近医に通院中,腹部エコーにて肝腫瘍を指摘され当院に紹介となった.腹部エコーにて肝S2に17mm大の境界明瞭で内部均質な低エコー腫瘤を認めた.造影CTでは,動脈相で辺縁部がリング状に濃染され,平衡相で内部が不均一に造影された.EOB-MRIではT1強調像にて低信号,脂肪抑制T2強調像で高信号を呈していた.また造影動脈相では辺縁に輪状の,内部には点状の信号増強を示していた.FDG-PETでは明らかな異常集積を認めなかった.悪性腫瘍を否定できず肝外側区域切除を施行した.術中所見では,肝S2に辺縁不整,比較的軟らかい灰白色の腫瘍を認めた.病理組織学的検査では硬化性の小血管周囲に,硝子化を伴う膠原組織や弾性線維が著明に増生しており,硬化性血管腫と診断された.肝癌類似病変に関して,今回われわれの治療経験に考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.965