局所陰圧閉鎖療法を行った腸管皮膚瘻を伴う開放創の2例

局所陰圧閉鎖療法は創傷治癒を促進する有効な治療法であるが,腸管と交通のある創では禁忌とされてきた.今回われわれは,腸管皮膚瘻を伴う開放創に対して,ドレナージによる瘻孔閉鎖後に非固着性ガーゼで露出腸管を保護して本療法を行い,著明な創縮小を得た2症例を経験した.症例1は67歳の女性.S状結腸憩室穿孔に対しHartmann手術を施行したが,術後結腸断端破綻に伴い正中創が離開した.症例2は65歳の女性.放射線性腸炎・骨盤内臓全摘術後で,小腸損傷に伴い正中創が離開した.それぞれドレナージによる腸管皮膚廔の閉鎖後,非固着性ガーゼで露出腸管を保護して本療法を開始した.開始当初は低圧での吸引を行い交換も頻回に...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 12; pp. 2196 - 2200
Main Authors 末田, 泰二郎, 村尾, 直樹, 村上, 義昭, 渡谷, 祐介, 上村, 健一郎, 大毛, 宏喜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.2196

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Summary:局所陰圧閉鎖療法は創傷治癒を促進する有効な治療法であるが,腸管と交通のある創では禁忌とされてきた.今回われわれは,腸管皮膚瘻を伴う開放創に対して,ドレナージによる瘻孔閉鎖後に非固着性ガーゼで露出腸管を保護して本療法を行い,著明な創縮小を得た2症例を経験した.症例1は67歳の女性.S状結腸憩室穿孔に対しHartmann手術を施行したが,術後結腸断端破綻に伴い正中創が離開した.症例2は65歳の女性.放射線性腸炎・骨盤内臓全摘術後で,小腸損傷に伴い正中創が離開した.それぞれドレナージによる腸管皮膚廔の閉鎖後,非固着性ガーゼで露出腸管を保護して本療法を開始した.開始当初は低圧での吸引を行い交換も頻回に行ったが,段階的に吸引圧を上げ,合併症なく創縮小が得られた.腸管皮膚瘻を伴う開放創でも,瘻孔閉鎖後に適切に腸管を保護すれば本療法は安全に施行できると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.2196