胸壁転移をきたした膵内分泌腫瘍の1例

症例は68歳,女性.2002年9月,同時性多発肝転移を伴う膵体尾部内分泌腫瘍に対してTACEを行い,肝転移巣の良好な局所制御が得られたため,3カ月後,原発巣に対し膵体尾部切除術を施行した.切除後1,8,58カ月に,肝転移巣の再燃に対し,計3回のTACEを施行した.2009年7月,急速に増大する左胸壁腫瘤を指摘.穿刺細胞診にて膵内分泌腫瘍胸壁転移と診断し,第3・4・5肋骨を含む胸壁腫瘍広範切除術を施行した.初回治療後96カ月現在,生存中である.膵内分泌腫瘍は同時性多発肝転移を伴っていても,本例のように積極的治療を行うことで,長期生存が得られる可能性が示唆された.また,非常に稀な転移形式ではあるが...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 2; pp. 478 - 482
Main Authors 大東, 弘明, 石川, 治, 矢野, 雅彦, 高橋, 秀典, 岡見, 次郎, 竹中, 明美, 福田, 周一, 冨田, 裕彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.478

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Summary:症例は68歳,女性.2002年9月,同時性多発肝転移を伴う膵体尾部内分泌腫瘍に対してTACEを行い,肝転移巣の良好な局所制御が得られたため,3カ月後,原発巣に対し膵体尾部切除術を施行した.切除後1,8,58カ月に,肝転移巣の再燃に対し,計3回のTACEを施行した.2009年7月,急速に増大する左胸壁腫瘤を指摘.穿刺細胞診にて膵内分泌腫瘍胸壁転移と診断し,第3・4・5肋骨を含む胸壁腫瘍広範切除術を施行した.初回治療後96カ月現在,生存中である.膵内分泌腫瘍は同時性多発肝転移を伴っていても,本例のように積極的治療を行うことで,長期生存が得られる可能性が示唆された.また,非常に稀な転移形式ではあるが,膵内分泌腫瘍は胸壁転移を考慮した長期的経過観察が必要と思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.478