経時的に採取したHIV-1感染者血漿中の逆転写酵素阻止抗体に関する検討
ポリA固相化マイクロタイタープレートを用いた非放射性逆転写酵素活性測定法により, 経時的に採取したHIV-1抗体陽性者血漿中の逆転写酵素 (RT) 阻止抗体の測定を行った. 経過観察期間中無症候キャリアー (AC) のままであった6例とACからAIDSへと移行した3例から, 29カ月~51カ月の間に経時的に採取した血漿について, HTLV-IIIB株のRT活性に対する阻止反応によりRT阻止抗体を測定し, その推移を追跡した. AC例6例中5例では, 経過期間中 (45~51カ月) の段階希釈した血漿のHTLV-IIIBのRT活性に対する阻止率およびRT活性を50%阻止する血漿の希釈倍数にほとん...
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| Published in | 感染症学雑誌 Vol. 69; no. 8; pp. 851 - 857 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本感染症学会
20.08.1995
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| ISSN | 0387-5911 1884-569X |
| DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.69.851 |
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| Summary: | ポリA固相化マイクロタイタープレートを用いた非放射性逆転写酵素活性測定法により, 経時的に採取したHIV-1抗体陽性者血漿中の逆転写酵素 (RT) 阻止抗体の測定を行った. 経過観察期間中無症候キャリアー (AC) のままであった6例とACからAIDSへと移行した3例から, 29カ月~51カ月の間に経時的に採取した血漿について, HTLV-IIIB株のRT活性に対する阻止反応によりRT阻止抗体を測定し, その推移を追跡した. AC例6例中5例では, 経過期間中 (45~51カ月) の段階希釈した血漿のHTLV-IIIBのRT活性に対する阻止率およびRT活性を50%阻止する血漿の希釈倍数にほとんど変動はみられなかった. また, これら5例は患者末梢血単核球 (PBMC) からのHIV分離, 血中HIV p24抗原ともにすべて陰性であった. しかし, AC例046の血漿では, 48カ月の経過期間中にRT活性阻止率および50%阻止希釈倍数はともに徐々に低下していった. この例では, 血中HIVp24抗原は陰性のままであったが, 経過追跡開始から27カ月目より患者PBMCからHIVが分離できるようになった. 一方, ACからAIDSへと移行した3例の血漿では, いずれも経過期間中 (29~35カ月) 臨床症状の発現あるいはHIV分離成功に並行して, RT活性阻止率および50%阻止希釈倍数が徐々に低下していた. これらの結果より, RT阻止抗体のレベルは, HIV感染者の病態をよく反映しているものと思われた. |
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| ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
| DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.69.851 |