S状結腸癌に同時性に重複した原発不明癌の1例

症例は48歳女性で,下部消化管内視鏡検査でS状結腸に2型病変を認め,生検にて高分化腺癌と診断された.腹部CT検査で,多発肝転移・所属リンパ節腫大を認めた.S状結腸癌cMP,cN1,cH3,cPx,cStage IVと診断し,手術を施行した.手術所見は,所属リンパ節腫大と思われた腫瘤はS状結腸腸間膜にあり,小腸と癒着しており,S状結腸切除・小腸合併切除を施行した.術後経過は良好で軽快退院し,転院後CDDP+CPT-11療法施行した.S状結腸癌の組織型は高分化腺癌,深達度はSM>5,000μmの診断であった.腸間膜腫瘤・大網結節からは低分化腺癌と内分泌細胞の混在が認められた.S状結腸癌のリンパ節転...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 11; pp. 3123 - 3127
Main Authors 広本, 昌裕, 加藤, 貴史, 加藤, 礼, 村上, 雅彦, 青木, 武士, 渡辺, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.3123

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Summary:症例は48歳女性で,下部消化管内視鏡検査でS状結腸に2型病変を認め,生検にて高分化腺癌と診断された.腹部CT検査で,多発肝転移・所属リンパ節腫大を認めた.S状結腸癌cMP,cN1,cH3,cPx,cStage IVと診断し,手術を施行した.手術所見は,所属リンパ節腫大と思われた腫瘤はS状結腸腸間膜にあり,小腸と癒着しており,S状結腸切除・小腸合併切除を施行した.術後経過は良好で軽快退院し,転院後CDDP+CPT-11療法施行した.S状結腸癌の組織型は高分化腺癌,深達度はSM>5,000μmの診断であった.腸間膜腫瘤・大網結節からは低分化腺癌と内分泌細胞の混在が認められた.S状結腸癌のリンパ節転移後の内分泌細胞癌への分化の可能性も完全には否定できないが,深達度を考慮すると,重複する原発不明癌の多発肝転移・腹膜播種と推察された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.3123