乳房温存療法困難症例に対して行った術後乳房照射併用遊離真皮脂肪弁移植の整容性評価

われわれは,乳房温存療法困難症例11例に対し,遊離真皮脂肪弁移植による一期的乳房再建を施行し,術後乳房照射を行った.全症例の術後経過は良好で,移植弁の感染,壊死をきたすことなく順調に軽快した.術後移植弁のMRI検査では,移植弁の周囲にのみ血流の再開が確認されたが,中心部には血流は認めず,移植弁のサイズは採取時より縮小していた.Core needle biopsyでは,移植弁は脂肪組織の組織構築を保ちつつ脂肪細胞は脱落し,組織学的には循環障害による組織凝固壊死像に相当した.乳房の整容性については,日本乳癌学会沢井班による基準では平均10.0点であった.術後の移植弁については多くの症例で硬く触知さ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 2; pp. 354 - 359
Main Authors 佐伯, 吉弘, 角舎, 学行, 江藤, 高陽, 西阪, 隆, 向井, 正一朗, 先本, 秀人, 高橋, 信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.354

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Summary:われわれは,乳房温存療法困難症例11例に対し,遊離真皮脂肪弁移植による一期的乳房再建を施行し,術後乳房照射を行った.全症例の術後経過は良好で,移植弁の感染,壊死をきたすことなく順調に軽快した.術後移植弁のMRI検査では,移植弁の周囲にのみ血流の再開が確認されたが,中心部には血流は認めず,移植弁のサイズは採取時より縮小していた.Core needle biopsyでは,移植弁は脂肪組織の組織構築を保ちつつ脂肪細胞は脱落し,組織学的には循環障害による組織凝固壊死像に相当した.乳房の整容性については,日本乳癌学会沢井班による基準では平均10.0点であった.術後の移植弁については多くの症例で硬く触知されたが,乳房最下垂点,乳頭の位置など,左右のバランスにおいては全例良好であった.遊離真皮脂肪弁移植は,乳房再建術としては筋皮弁やインプラントに比べ簡便で低侵襲であり,体位変換の必要もなく,形成外科医でなくとも可能な術式である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.354