出血による心タンポナーデをきたした心外膜原発滑膜肉腫の1例

心臓・心膜に腫瘍が発生することは稀で,悪性腫瘍であればさらに頻度は少ない.また,心臓由来または心筋に浸潤する場合には完全切除が困難であり,予後は不良とされる.今回,心外膜に発生した滑膜肉腫の1例を経験したので報告する.症例は65歳の男性,前胸部痛を主訴に前医を受診し急性冠症候群は否定され,後日の精査となった.CTで心下面の腫瘍を指摘され,初回受診から2週間後に当院を紹介受診となった.当科入院の際には心窩部痛・嘔気・低血圧状態であり,症状は急速に増悪した.心腫瘍からの出血による心タンポナーデと判断し,救命と出血コントロール目的に緊急で手術を施行,心タンポナーデの解除と可及的な心腫瘍摘出を行った....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 10; pp. 2032 - 2036
Main Authors 川村, 祐子, 森岡, 浩一, 田邉, 佐和香, 高森, 督, 今村, 好章, 腰地, 孝昭, 山田, 就久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.2032

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Summary:心臓・心膜に腫瘍が発生することは稀で,悪性腫瘍であればさらに頻度は少ない.また,心臓由来または心筋に浸潤する場合には完全切除が困難であり,予後は不良とされる.今回,心外膜に発生した滑膜肉腫の1例を経験したので報告する.症例は65歳の男性,前胸部痛を主訴に前医を受診し急性冠症候群は否定され,後日の精査となった.CTで心下面の腫瘍を指摘され,初回受診から2週間後に当院を紹介受診となった.当科入院の際には心窩部痛・嘔気・低血圧状態であり,症状は急速に増悪した.心腫瘍からの出血による心タンポナーデと判断し,救命と出血コントロール目的に緊急で手術を施行,心タンポナーデの解除と可及的な心腫瘍摘出を行った.患者状態が急激に悪化するなかで治療方針決定に難渋した1例であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.2032