融解金属による鼻副鼻腔異物

事故により鼻腔内に入った融解金属が冷却され鋳型状となり,異物化し摘出が困難となった鼻腔異物の症例を経験した。症例は42歳男性で,アルミニウムの融解作業中に溶解物が飛散し,全身に高温の溶解物を浴びたため全身熱傷の診断で同日当院へ救急搬送された。来院時には融解金属により全身の熱傷を認め,鼻腔と口腔にアルミニウムと思われる金属片を認めたが摘出困難で,CTでは金属片は鼻腔内に鋳型状に存在していることが確認出来た。第20病日に全身麻酔下で両側鼻内異物摘出術を施行し,異物摘出後の鼻腔内は鼻中隔の穿孔と右下甲介の壊死を認め,術後に壊死脱落が進行した。同様の症例は過去に数件散在されるが非常にまれな症例である。...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in頭頸部外科 Vol. 27; no. 2; pp. 205 - 210
Main Authors 岩永, 健, 新井, 宏幸, 袴田, 桂, 鈴木, 克佳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2017
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.27.205

Cover

More Information
Summary:事故により鼻腔内に入った融解金属が冷却され鋳型状となり,異物化し摘出が困難となった鼻腔異物の症例を経験した。症例は42歳男性で,アルミニウムの融解作業中に溶解物が飛散し,全身に高温の溶解物を浴びたため全身熱傷の診断で同日当院へ救急搬送された。来院時には融解金属により全身の熱傷を認め,鼻腔と口腔にアルミニウムと思われる金属片を認めたが摘出困難で,CTでは金属片は鼻腔内に鋳型状に存在していることが確認出来た。第20病日に全身麻酔下で両側鼻内異物摘出術を施行し,異物摘出後の鼻腔内は鼻中隔の穿孔と右下甲介の壊死を認め,術後に壊死脱落が進行した。同様の症例は過去に数件散在されるが非常にまれな症例である。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.27.205