緊急手術を施行し救命し得た外傷性右主気管支完全断裂の1例

外傷性気管気管支損傷は稀だが致死率が高い.症例は15歳男性.交通事故で当院に救急搬送された.来院時,高度意識障害を認めたが,血圧や自発呼吸は保たれていた.胸部X線では気胸を認めず,CTで縦隔気腫と右主気管支の途絶を認め気管支損傷が疑われた.右胸腔ドレーンを留置したがエアリークはなかった.他に頭蓋内損傷を認めたが緊急手術の必要はなく,直ちに右主気管支損傷に対する手術を行った.ダブルルーメンチューブが挿入困難であったため,気管切開後に6.5 mmスパイラルチューブを左主気管支に留置した.後側方切開で開胸し,縦隔胸膜を切開し奇静脈を切離した後,右主気管支の完全断裂を確認した.部分的にデブリドマンを行...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 6; pp. 715 - 720
Main Authors 別府, 樹一郎, 大薗, 慶吾, 坂梨, 渓太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.09.2022
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.715

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Summary:外傷性気管気管支損傷は稀だが致死率が高い.症例は15歳男性.交通事故で当院に救急搬送された.来院時,高度意識障害を認めたが,血圧や自発呼吸は保たれていた.胸部X線では気胸を認めず,CTで縦隔気腫と右主気管支の途絶を認め気管支損傷が疑われた.右胸腔ドレーンを留置したがエアリークはなかった.他に頭蓋内損傷を認めたが緊急手術の必要はなく,直ちに右主気管支損傷に対する手術を行った.ダブルルーメンチューブが挿入困難であったため,気管切開後に6.5 mmスパイラルチューブを左主気管支に留置した.後側方切開で開胸し,縦隔胸膜を切開し奇静脈を切離した後,右主気管支の完全断裂を確認した.部分的にデブリドマンを行った後,端々吻合による気管支形成を行い修復した.術後吻合部合併症は認めなかったが,意識障害が改善せず術後19週目にリハビリ施設へ転院となった.主気管支断裂例の救命には迅速な外科治療が重要と考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.715