乳がん術後腋窩リンパ節再発による上肢痛に対して頸椎くも膜下鎮痛法を施行した1症例

難治性のがん性疼痛に対するくも膜下鎮痛法は有用な治療法であるが,頸椎で施行する場合は全脊麻や呼吸抑制などの重篤な副作用に留意する必要があり本邦での報告は少ない.今回,乳がん術後の腋窩リンパ節再発による上肢痛に対して頸椎のくも膜下鎮痛法を施行した症例を経験したので報告する.50歳代女性.左乳がん術後に腋窩リンパ節再発をきたし,左上肢全体の腫脹と疼痛を訴えた.オキシコドン,メサドンによる疼痛コントロールは不良であったため,くも膜下鎮痛法を施行した.カテーテルはL4/5より挿入して先端はC7下縁に留置,ポートは左上腹部に作成した.薬液はモルヒネ0.3 mg/日,0.1%等比重ブピバカイン2.4 mg...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 32; no. 5; pp. 115 - 118
Main Authors 前田, 倫, 塩飽, 尭之, 菅島, 裕美, 平井, 康富, 松村, 陽子, 井内, 貴子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本ペインクリニック学会 25.05.2025
日本ペインクリニック学会
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ISSN1340-4903
1884-1791
DOI10.11321/jjspc.24-0060

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Summary:難治性のがん性疼痛に対するくも膜下鎮痛法は有用な治療法であるが,頸椎で施行する場合は全脊麻や呼吸抑制などの重篤な副作用に留意する必要があり本邦での報告は少ない.今回,乳がん術後の腋窩リンパ節再発による上肢痛に対して頸椎のくも膜下鎮痛法を施行した症例を経験したので報告する.50歳代女性.左乳がん術後に腋窩リンパ節再発をきたし,左上肢全体の腫脹と疼痛を訴えた.オキシコドン,メサドンによる疼痛コントロールは不良であったため,くも膜下鎮痛法を施行した.カテーテルはL4/5より挿入して先端はC7下縁に留置,ポートは左上腹部に作成した.薬液はモルヒネ0.3 mg/日,0.1%等比重ブピバカイン2.4 mg/日で開始し,術後13日目にモルヒネ6 mg/日,ブピバカイン12 mg/日まで増量したところでNRS 9/10から2に改善した.経過中に重篤な副作用は生じなかった.約2週間かけて慎重に薬液調整をすることで重篤な副作用なく管理することができた.
ISSN:1340-4903
1884-1791
DOI:10.11321/jjspc.24-0060