抗凝固療法の中止により再発した肺静脈断端血栓の1例

左上葉切除後の肺静脈断端血栓に対して抗凝固療法が行われるが,抗凝固療法の中止の可否や中止のタイミングについて一定の見解はない.我々は左上肺静脈断端血栓に対して抗凝固療法により血栓消失を得たものの,抗凝固療法中止後に血栓を再形成した症例を経験したため報告する.症例は71歳,男性.左上葉肺癌に対して左上葉切除を行い,3ヵ月後のフォローCTにて左上肺静脈断端に血栓を認めた.抗凝固療法を開始し血栓の消失が確認できたため抗凝固療法を中止したが,その後のCTで再び肺静脈断端に血栓を形成したため再度抗凝固療法を行った.血栓が消失すればその後は起こらなかったとする報告もあるが,本症例のように抗凝固療法を中止す...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 7; pp. 802 - 806
Main Authors 徳永, 拓也, 佐藤, 雅美, 横枕, 直哉, 上田, 和弘, 丸山, 広生, 梅原, 正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.11.2021
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.35.802

Cover

More Information
Summary:左上葉切除後の肺静脈断端血栓に対して抗凝固療法が行われるが,抗凝固療法の中止の可否や中止のタイミングについて一定の見解はない.我々は左上肺静脈断端血栓に対して抗凝固療法により血栓消失を得たものの,抗凝固療法中止後に血栓を再形成した症例を経験したため報告する.症例は71歳,男性.左上葉肺癌に対して左上葉切除を行い,3ヵ月後のフォローCTにて左上肺静脈断端に血栓を認めた.抗凝固療法を開始し血栓の消失が確認できたため抗凝固療法を中止したが,その後のCTで再び肺静脈断端に血栓を形成したため再度抗凝固療法を行った.血栓が消失すればその後は起こらなかったとする報告もあるが,本症例のように抗凝固療法を中止することで血栓を再形成したとする報告は筆者らが検索し得た限りではなかった.急性期のみならず,遠隔期における血栓形成についても注意を要する症例があると考えられる.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.35.802