術前診断した小腸憩室出血の1例

症例は74歳,男性.下血とふらつきで当院に救急搬送された.Hb 5.7g/dlで,入院時に造影CTや上下部消化管内視鏡検査を施行したが,出血源は同定できなかった.輸血を行い,保存加療を行ったが,2日後に再び鮮血便を認め,大腸内視鏡にて再検すると回腸末端に鮮血を認め,小腸出血が疑われ,カプセル内視鏡(video capsule endoscopy;以下,VCE)を施行した.VCEではTreitz靱帯のやや肛門側に鮮血を認めたため,経口的ダブルバルーン小腸内視鏡(double-balloon endoscopy;以下,DBE)を施行した.Treitz靱帯から25cmから50cm肛門側の空腸に3カ所...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 8; pp. 1802 - 1807
Main Authors 丸山, 憲太郎, 市川, 善章, 岡, 博史, 溝尻, 岳, 阪口, 正博, 前田, 環, 檀, 信浩, 西原, 政好
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.1802

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Summary:症例は74歳,男性.下血とふらつきで当院に救急搬送された.Hb 5.7g/dlで,入院時に造影CTや上下部消化管内視鏡検査を施行したが,出血源は同定できなかった.輸血を行い,保存加療を行ったが,2日後に再び鮮血便を認め,大腸内視鏡にて再検すると回腸末端に鮮血を認め,小腸出血が疑われ,カプセル内視鏡(video capsule endoscopy;以下,VCE)を施行した.VCEではTreitz靱帯のやや肛門側に鮮血を認めたため,経口的ダブルバルーン小腸内視鏡(double-balloon endoscopy;以下,DBE)を施行した.Treitz靱帯から25cmから50cm肛門側の空腸に3カ所の憩室を認め,そのうち最も肛門側の長径約4.5cmの憩室内に露出血管がみられた.手術適応と判断し,憩室を含めた小腸切除を施行した.空腸憩室出血は頻度が低く診断が困難である.今回われわれは,VCEとDBEを組み合わせることで小腸憩室出血を術前診断することができた症例を経験したので,文献的考察を含めて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.1802