Stent graft 内挿術による治療が奏功した腹部大動脈-下大静脈瘻の1例
心不全にて発症した腹部大動脈-下大静脈瘻の1例を経験したので報告する.症例は80歳男性.突然の呼吸苦,両下腿浮腫を自覚し,当院救急外来を受診した.急性心不全と診断され,緊急入院となった.血管造影検査の動脈相にて腹部大動脈から下大静脈が造影され,腹部大動脈-下大静脈瘻と診断した.内科的コントロールにて心不全症状の改善がなく準緊急的に手術を行った.大動脈瘤は認めず,瘻孔のみの閉鎖でよいと判断し,Stent graft内挿術を行った.術後経過は良好で術後15日目に退院となった.大動脈瘤を伴わない腹部大動脈-下大静脈瘻は非常に稀な疾患であり,診断に難渋する.症例によっては腹部大動脈-下大静脈瘻に対して...
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Published in | 日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 44; no. 4; pp. 245 - 248 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
2015
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Subjects | |
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ISSN | 0285-1474 1883-4108 |
DOI | 10.4326/jjcvs.44.245 |
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Summary: | 心不全にて発症した腹部大動脈-下大静脈瘻の1例を経験したので報告する.症例は80歳男性.突然の呼吸苦,両下腿浮腫を自覚し,当院救急外来を受診した.急性心不全と診断され,緊急入院となった.血管造影検査の動脈相にて腹部大動脈から下大静脈が造影され,腹部大動脈-下大静脈瘻と診断した.内科的コントロールにて心不全症状の改善がなく準緊急的に手術を行った.大動脈瘤は認めず,瘻孔のみの閉鎖でよいと判断し,Stent graft内挿術を行った.術後経過は良好で術後15日目に退院となった.大動脈瘤を伴わない腹部大動脈-下大静脈瘻は非常に稀な疾患であり,診断に難渋する.症例によっては腹部大動脈-下大静脈瘻に対してStent graft内挿術が有用であると考えられる. |
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ISSN: | 0285-1474 1883-4108 |
DOI: | 10.4326/jjcvs.44.245 |