TEVAR 後に生じた親水コーティング塞栓症の1例

血管内治療の増加に伴い,血管内治療デバイス表面に塗布されている親水コーティングが剥離することによる塞栓症の報告を最近目にするようになった.今回TEVAR後に生じた親水コーティング塞栓症 (HPE : hydrophilic polymer embolism) を経験したので,文献的考察を含めて報告する.症例は70歳男性.14年前に解離性大動脈瘤に対して遠位弓部大動脈人工血管置換術を施行している.フォローCTで中枢側吻合部に仮性瘤を認めたため,TEVAR目的に当科へ入院した.右総大腿動脈アプローチにより1 debranching TEVARを施行した.ステントグラフト留置の際pull-throu...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 48; no. 6; pp. 428 - 432
Main Authors 福井, 康三, 伊東, 和雄, 畠山, 正治, 田口, 亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.11.2019
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.48.428

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Summary:血管内治療の増加に伴い,血管内治療デバイス表面に塗布されている親水コーティングが剥離することによる塞栓症の報告を最近目にするようになった.今回TEVAR後に生じた親水コーティング塞栓症 (HPE : hydrophilic polymer embolism) を経験したので,文献的考察を含めて報告する.症例は70歳男性.14年前に解離性大動脈瘤に対して遠位弓部大動脈人工血管置換術を施行している.フォローCTで中枢側吻合部に仮性瘤を認めたため,TEVAR目的に当科へ入院した.右総大腿動脈アプローチにより1 debranching TEVARを施行した.ステントグラフト留置の際pull-through法でステントグラフトを進め留置した.術後4日目に紫斑が出現し増加傾向であったため皮膚生検を行ったところ,thrombosis and hydrophilic polymer gel embolizationの診断となった.紫斑は出現したものの虚血症状などはないため経過観察した.紫斑が消退傾向であり術後27日目に独歩退院した.親水コーティングは血管内デバイスにひろく塗布されており,血管内治療を行う際には注意を要すると考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.48.428