上部消化管出血における緊急経鼻内視鏡の有効性

【目的】経鼻内視鏡(経鼻)は非鎮静下でも循環動態が安定し患者負担が少ない。このことから上部消化管出血に対する緊急内視鏡(緊急)に経鼻を用いることは安全性から有用と考えられる。今回経鼻による緊急の出血病変診断能力,止血術の有効性を評価した。【方法】緊急例に対し,連続的前向きに非鎮静下経鼻を行い経鼻による出血部位診断能,止血術における循環動態変化(収縮期血圧,脈拍,SpO2)を評価した。【成績】緊急は210例で経鼻診断可能は203例(97%)(消化性潰瘍80例39%,他)であった。止血術は58例に行ったが経鼻による止血は43例(経鼻のみは40例69%)であった。経鼻のみで止血術を行った40例の循環...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 32; no. 6; pp. 1007 - 1012
Main Authors 吉田, 篤生, 野嵜, 昌, 伏見, 宣俊, 森, 昭裕, 大橋, 憲嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2012
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.32.1007

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Summary:【目的】経鼻内視鏡(経鼻)は非鎮静下でも循環動態が安定し患者負担が少ない。このことから上部消化管出血に対する緊急内視鏡(緊急)に経鼻を用いることは安全性から有用と考えられる。今回経鼻による緊急の出血病変診断能力,止血術の有効性を評価した。【方法】緊急例に対し,連続的前向きに非鎮静下経鼻を行い経鼻による出血部位診断能,止血術における循環動態変化(収縮期血圧,脈拍,SpO2)を評価した。【成績】緊急は210例で経鼻診断可能は203例(97%)(消化性潰瘍80例39%,他)であった。止血術は58例に行ったが経鼻による止血は43例(経鼻のみは40例69%)であった。経鼻のみで止血術を行った40例の循環動態変化は軽微で重篤な偶発症はなく再出血は3例(8%)であった。【結論】緊急経鼻は出血病変診断能に問題なく一時止血術も安全に実行可能である。循環動態が不安定な緊急に経鼻を用いることは合理的でありファーストルックの第一選択となる可能性がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.32.1007