小型混合型肝癌の1例

症例は56歳男性.B型肝硬変とアルコール性肝障害で当科通院中.2017年7月のEOB-MRIにて肝S4に多血性腫瘍を認められ入院.採血検査では,肝硬変による肝トランスアミナーゼ上昇,血小板減少を認めたが,腫瘍マーカーは陰性であった.EOB-MRIでは,腫瘍は10 mm大で早期相で不均一な高信号,肝細胞相で低信号,拡散強調画像で高信号を呈した.肝細胞癌(HCC)Stage1と診断し,腹腔鏡下肝部分切除術を施行した.術後16カ月経過し再発は認めていない.病理学的に腫瘍は高分化型HCC,中分化型HCC,HCCと肝内胆管癌の移行部,高-中分化型肝内胆管癌の4領域で構成される混合型肝癌であった.本症例は...

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Published in肝臓 Vol. 60; no. 8; pp. 294 - 301
Main Authors 大沼, 啓之, ⻑谷川, 匡, 加藤, 淳二, 竹政, 伊知朗, 中村, 元, 辻脇, 光洋, 永山, 稔, 小船, 雅義, 木村, 康利, 田中, 信悟, 高田, 弘一, 宮⻄, 浩嗣, 坂本, 拡基, 村瀬, 和幸, 大須賀, 崇裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.08.2019
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.60.294

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Summary:症例は56歳男性.B型肝硬変とアルコール性肝障害で当科通院中.2017年7月のEOB-MRIにて肝S4に多血性腫瘍を認められ入院.採血検査では,肝硬変による肝トランスアミナーゼ上昇,血小板減少を認めたが,腫瘍マーカーは陰性であった.EOB-MRIでは,腫瘍は10 mm大で早期相で不均一な高信号,肝細胞相で低信号,拡散強調画像で高信号を呈した.肝細胞癌(HCC)Stage1と診断し,腹腔鏡下肝部分切除術を施行した.術後16カ月経過し再発は認めていない.病理学的に腫瘍は高分化型HCC,中分化型HCC,HCCと肝内胆管癌の移行部,高-中分化型肝内胆管癌の4領域で構成される混合型肝癌であった.本症例は小型の段階で,HCCの一部が胆管細胞癌へ脱分化又は形質転換した非常に初期の混合型肝癌と考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.60.294