頭蓋底骨転移により多発脳神経障害を認めた乳癌の2例

今回,頭蓋底骨転移が指摘され,対照的な経過を辿った乳癌2例を経験したので報告する.症例1は72歳の女性.頭蓋底骨転移による第VIII,IX,XII脳神経障害を伴う右乳癌cT4bN0M1(OSS),Stage IVと診断され,放射線治療(左頭蓋底 39Gy/13fr)の施行にて脳神経症状の著明な改善を認めた.症例2は67歳の女性.頭蓋底骨転移による第VIII,IX,X,XII脳神経障害を伴う右乳癌cT4bN3aM1(PUL),Stage IVの診断で,化学療法開始予定であったが,頭痛・眩暈・呼吸困難を主訴に緊急入院となった.嚥下障害の進行により摂食ができず,緩和治療目的に転院となった.乳癌患者の...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 9; pp. 1742 - 1747
Main Authors 西岡, 瑛子, 國久, 智成, 水本, 紗千子, 曽山, みさを, 谷野, 裕一, 岡本, 葵, 三木, 万由子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.1742

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Summary:今回,頭蓋底骨転移が指摘され,対照的な経過を辿った乳癌2例を経験したので報告する.症例1は72歳の女性.頭蓋底骨転移による第VIII,IX,XII脳神経障害を伴う右乳癌cT4bN0M1(OSS),Stage IVと診断され,放射線治療(左頭蓋底 39Gy/13fr)の施行にて脳神経症状の著明な改善を認めた.症例2は67歳の女性.頭蓋底骨転移による第VIII,IX,X,XII脳神経障害を伴う右乳癌cT4bN3aM1(PUL),Stage IVの診断で,化学療法開始予定であったが,頭痛・眩暈・呼吸困難を主訴に緊急入院となった.嚥下障害の進行により摂食ができず,緩和治療目的に転院となった.乳癌患者の骨転移に起因する脳神経症状を早期に発見し,治療介入することで,患者の生活の質(quality of life:QOL)の低下を防げる可能性がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.1742