Stage IVA巨大肝細胞癌に対し血管内治療と分子標的治療を中心とした集学的治療で長期生存が得られている症例―分子標的治療前後での血清蛋白発現の評価

症例は60歳男性,腹部違和感を主訴に近医を受診.肝右葉に切除不能巨大肝細胞癌(腫瘍径20 cm,Stage IVA,Vv3)の診断で,加療目的で当院に紹介された.肝動注化学療法(NewFP療法)を選択し,約5カ月の経過で腫瘍濃染の消失および腫瘍径の縮小が得られたため,拡大肝右葉切除術を施行した.しかし,切除後2カ月の時点で肝内多発再発を認め,引き続き肝動注化学療法と分子標的治療薬を用いた集学的治療を施行した.治療効果および副反応に応じた薬剤の切り替えで病勢制御が可能となり,初診時より3年8カ月の長期生存が得られている.分子標的治療前後の血清中の血管新生蛋白発現を解析したところ,治療後に血清in...

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Published in肝臓 Vol. 61; no. 8; pp. 418 - 425
Main Authors 岩本, 英希, 下瀬, 茂男, 山口, 泰三, 新関, 敬, 古賀, 浩徳, 鈴木, 浩之, 矢野, 博久, 奥田, 康司, 城野, 智毅, 鳥村, 拓司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.08.2020
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.61.418

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Summary:症例は60歳男性,腹部違和感を主訴に近医を受診.肝右葉に切除不能巨大肝細胞癌(腫瘍径20 cm,Stage IVA,Vv3)の診断で,加療目的で当院に紹介された.肝動注化学療法(NewFP療法)を選択し,約5カ月の経過で腫瘍濃染の消失および腫瘍径の縮小が得られたため,拡大肝右葉切除術を施行した.しかし,切除後2カ月の時点で肝内多発再発を認め,引き続き肝動注化学療法と分子標的治療薬を用いた集学的治療を施行した.治療効果および副反応に応じた薬剤の切り替えで病勢制御が可能となり,初診時より3年8カ月の長期生存が得られている.分子標的治療前後の血清中の血管新生蛋白発現を解析したところ,治療後に血清insulin-like growth factor-binding protein 1が上昇していた.本症例で得られた知見が分子標的治療薬のバイオマーカー探索の一助となることを期待し報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.61.418