肺癌に対するゲフィチニブ投与中に根治手術を行った甲状腺乳頭癌の一例

現在,様々な悪性腫瘍に対する分子標的薬の効果が報告され,生命予後が改善してきている。これにより,続発する重複癌に対する治療を要する症例もみられるようになった。今回,肺癌に対しゲフィチニブ(イレッサ®)を投与され,PRが得られていた症例に対し,甲状腺全摘術,頸部郭清術を施行した甲状腺乳頭癌症例を経験した。ゲフィチニブによる創傷治癒遅延の可能性も考えられたため,11日間の休薬期間を設けた。術後は創部の合併症を認めず,ゲフィチニブ休薬に伴う肺癌の増大を認めなかった。重複癌症例では,一次癌の治療継続の可否や,二次癌に対する治療の根治性や安全性などの問題があげられる。このような問題について,文献的考察を...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in頭頸部外科 Vol. 30; no. 1; pp. 99 - 103
Main Authors 那須, 隆, 浅野, 敬史, 新川, 智佳子, 天野, 真太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2020
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.30.99

Cover

More Information
Summary:現在,様々な悪性腫瘍に対する分子標的薬の効果が報告され,生命予後が改善してきている。これにより,続発する重複癌に対する治療を要する症例もみられるようになった。今回,肺癌に対しゲフィチニブ(イレッサ®)を投与され,PRが得られていた症例に対し,甲状腺全摘術,頸部郭清術を施行した甲状腺乳頭癌症例を経験した。ゲフィチニブによる創傷治癒遅延の可能性も考えられたため,11日間の休薬期間を設けた。術後は創部の合併症を認めず,ゲフィチニブ休薬に伴う肺癌の増大を認めなかった。重複癌症例では,一次癌の治療継続の可否や,二次癌に対する治療の根治性や安全性などの問題があげられる。このような問題について,文献的考察を加え報告する。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.30.99